Updated by 『森林循環経済』編集部 on October 30, 2025, 7:29 PM JST
Editorial Board, Forest Circular Economy
Forestcircularity-editor
We aim to realize "Vision 2050: Japan Shines, Forest Circular Economy" promoted by the Platinum Forest Industry Initiative. We will disseminate ideas and initiatives to promote biomass chemistry, realize woody and lumbery communities, and encourage innovation in the forestry industry in order to fully utilize forest resources to decarbonize the economy, strengthen economic security, and create local communities.
温暖で雨の多い九州地方は、スギやヒノキの育成が盛んで、全国有数の森林資源を誇ります。小国杉、日田杉など、高品質なブランド材が供給され、地域の文化や暮らしにも林業が深く根付いています。そんな九州の現場で、近年注目を集めているのが「林業女子」です。チェーンソーを手に木を伐る姿や、自然とともに生きるライフスタイルは、これまでの林業のイメージを大きく変えつつあります。Instagramでは、日々の作業や森林への思い、仲間との活動の様子が発信されており、森の魅力を感じられる投稿が数多く見られます。本記事では、そんな九州エリア(※)で活躍する林業女子が映るおすすめアカウントを5つご紹介します。
対馬木材事業協同組合は、長崎県対馬市を拠点に立木の伐採をはじめ、製紙用・燃料用チップの製造まで幅広く手がけています。森や海への不法投棄や国の林業施策への鋭い言及など、歯に衣着せぬ発信は、自然や林業に関心のある人々の共感を呼ぶことは間違いありません。一方で、対馬ののどかな風景や四季折々の森の様子も数多く投稿され、忙しい日常を忘れさせてくれるような癒やしも与えてくれます。
さらに「日本一の林業女子を目指す」というハッシュタグがついた投稿では、入社3日目で器用に大径木をチェーンソーでカットする様子が紹介され、林業女子としてのたくましさや挑戦心が伝わってきます。アルバイトの募集要項には女性歓迎と明記されており、女性でも安心して林業に挑戦できる雰囲気が魅力的です。
ひなたで林業のInstagramでは、高性能林業機械が数多く登場し、作業現場の力強さと効率の良さが伝わってきます。これらの機械は、人の手では危険で負担の大きい作業を代わりに担ってくれるため、力に自信のない女性でも安心して林業に取り組める環境づくりを目指す社風が感じられます。
実際に林業女子が緊張感を持ちつつも慣れた手つきで重機のオペレーション業務をこなしている様子は印象的です。力任せではなく技術と判断力で仕事を進める姿からは「体格に恵まれていなくても林業の世界で活躍できる」ということが伝わってきます。
さらに、投稿には「ライフワークバランス」や「スローライフ」といったハッシュタグが多く見られ、自然と向き合いながら自分のペースで働ける職場の雰囲気が感じられるアカウントです。
内藤恵梨さんは、長崎県森林ボランティア団体TAKENOEN(たけのえん)の代表として、森林・竹林整備や森林環境保全活動を行っている林業女子です。Instagramでは、ヤマザクラの植樹や竹林整備の研修の様子など、現場での活動がいきいきと発信されています。さらに、地域づくりや教育、食育、国際支援といった活動も積極的に行い、学校との連携を通じて次世代の子どもたちとともに自然や伝統を守ろうとする思いが伝わってきます。
投稿の中で内藤さんは「山仕事のニッチなイメージを変えてゆくのが、私たちの仕事」と語り、林業女子としての使命感をもって活動をしていることがうかがえます。未来への挑戦と地域への思いが両立する、見ていて学びと刺激のあるアカウントです。
國武林業は、熊本県で特殊伐採や森林の維持管理を行っている企業です。Instagramでは、現代表のお母様・信子さんも登場します。「60歳林業女子ブイブイいわしてます!」というキャプションとともに公開された動画では、ダイナミックながら繊細な手つきでチェーンソーを操る信子さんの姿が魅力的です。なんと毎日100回の腕立て伏せで体を鍛えているそうで、その努力の積み重ねが、難易度の高い作業を軽々とこなす力強さにつながっていることがわかります。
投稿には山の上での特殊伐採や間伐作業の様子も多数紹介されており、自然と向き合う現場の緊張感がひしひしと伝わってきます。さらに若手からベテランまでハツラツとした表情で作業に取り組む姿から「年齢や性別に関係なく林業で活躍できる」ということがよくわかるアカウントです。
佐賀県の林業課が運営する「佐賀の林業で働く」は、さが林業アカデミーや就業支援の情報が発信されているアカウントです。技術研修会や講習会の投稿には、男性に混ざって若い女性たちの姿が映し出され、林業女子として現場で着実に技術を身につけている様子が紹介されています。
また、修了証授与式の投稿では、努力して技術を習得した達成感や充実した表情が印象的です。研修や講習を通じて成長していく過程がリアルに感じられ、これから林業に挑戦してみたいと思う方にとって大いに参考になるでしょう。
さらに、これらの発信を見ると、現場に出る前に座学や指導を通して基礎を学ぶことの大切さに気づかされます。作業のポイントや知識を事前に身につけることで、林業の世界に少し自信を持って踏み出せる、そんなきっかけを与えてくれるアカウントです。
*Note
この記事の「九州エリア」とは、林野庁のブロック分けに従い、福岡県・大分県・佐賀県・長崎県・宮崎県・熊本県・鹿児島県・沖縄県の8県を指します。
See also:Forest Service Link: Forestry Agency