Updated by 『森林循環経済』編集部 on December 05, 2025, 9:46 AM JST
Editorial Board, Forest Circular Economy
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We aim to realize "Vision 2050: Japan Shines, Forest Circular Economy" promoted by the Platinum Forest Industry Initiative. We will disseminate ideas and initiatives to promote biomass chemistry, realize woody and lumbery communities, and encourage innovation in the forestry industry in order to fully utilize forest resources to decarbonize the economy, strengthen economic security, and create local communities.
林業の世界は、長く“世襲”や“家業型”が中心で、ゼロからの起業は今もなお少数派です。とりわけ女性起業家となるとその門はさらに狭く、挑戦に踏み出すには大きな覚悟と行動力が求められるでしょう。しかし近年、そんな固定観念を軽やかに飛び越え、女性ならではの視点や感性を活かして事業を立ち上げる力強い女性たちが各地で活躍し始めています。彼女たちの取り組みは、新しい働き方のロールモデルとなるだけでなく、地域の活性化にも大きく寄与します。そしてその歩みは、持続可能な森を次世代へとつなぐ大きな原動力になりつつあるのです。本記事では、林業関連の事業を行う女性起業家のInstagramアカウントを5つご紹介します。現場のリアルな様子や、地域貢献の取り組みの実態を、ぜひチェックしてみてください。
株式会社ゆうきの代表取締役社長である野中優佳さんは、22歳という若さで起業しました。同社では、先祖代々受け継いできた50haもの広大な山林から切り出した原木を製材し、住宅部品や木工品として販売しています。できるだけ機械に頼らず、自分たちの手と体で伐採することで、祖先から託された森との距離感を大切にしていることが魅力です。
さらに野中さんは、熊本県が設置する林業の専門教育機関「くまもと林業大学校」の公開講座で森林ツアーを開催したり、熊本県林業研究グループ連絡協議会女性部副代表を務めたりと、多方面で精力的に活動しています。その功績は高く評価され、令和元年度農山漁村女性活躍表彰では林野庁長官賞を受賞しました。
Instagramでは、野中さんだけでなく女性社員の現場での姿も紹介されており、チームの雰囲気をリアルに感じることができます。
株式会社たけふぁむは、山口県岩国市を拠点に、荒廃した竹林を再生し「竹害」を「竹財」へと転換する事業を展開している企業です。代表取締役の東谷まどかさんは、かつて会社勤めから体調を崩し休職した経験を経て、2023年10月に起業。「竹林整備 ・竹の資源化 ・ 商品化」のサイクルで循環型社会への貢献を目指しています。設立間もない企業でありながら、中国・近畿地方を中心に店舗を展開するホームセンター「ジュンテンドー」に試験的に竹の肥料を納品するなど、今後の展開にも期待が寄せられています。
また、クラウドファンディングを通じて竹パウダーなどの製造・保管場所の資金を募ると同時に、深刻化する竹害について発信し、地域や社会への理解やつながりを大切にしていることも特徴です。
Instagramでは、現場での作業風景や講演活動、お子さんとの日常など、東谷さんのリアルな姿が発信されています。起業家として事業を切り盛りしながら、現場に立ち続ける姿勢や、母としての優しい表情も垣間見え、見た人が応援したくなるような温かさにあふれたアカウントです。
株式会社ソマノベースは、奥川季花さんが設立した林業ベンチャー企業です。2021年の創業以来、「土砂災害による人的被害をゼロにする」という強い思いを掲げて活動しています。奥川さん自身の住む町が台風で土砂被害を受けたことから、森の保全と価値創造に挑戦したいとの決意が生まれたそうです。また、「森づくりは1人ではできない」と考え、企業や自治体、個人を巻き込み、森と人、社会とをつなぐ新しい林業の形を提案しています。
Instagramでは、ソマノベースの代表的な取り組み「MODRINAE」を中心に発信しています。どんぐりから育てた苗木を自宅やオフィスで管理した後、山に返すという循環型プロジェクトで、デザイン性の高いキットを使用し、誰でも手軽に森づくりに参加できることが特徴です。そのほか、交流会やワークショップなどの様子も紹介されており、起業家として、森を守る挑戦者として日々奮闘を続ける奥川さんの姿や信念が伝わってきます。
國武林業は、熊本県を拠点に、特殊伐採や森林の維持管理を手がける林業会社です。創業者の國武信子さんは、49歳で異業種から林業家に弟子入りした遅咲きの林業女子。その背中を追いかけるように息子さんも林業の世界に入り、2015年に親子で國武林業を立ち上げました。難易度の高い特殊伐採を中心に、熟練の技で地域の森を守り続けています。
Instagramでは、60代の信子さんがチェーンソーを扱う姿が紹介され、その熟練した技術力が印象的です。チェンソーの競技大会「日本伐木チャンピオンシップ(JLC)」に参加し、自らの腕を磨くと同時に、そのノウハウを社員教育にも活かしています。
さらに、「木を活かす」をコンセプトに、2019年からKEYCUSプロジェクトを実施。森の課題を解決するだけでなく、地域資源を新しい価値として社会に届ける挑戦も行っています。
株式会社ENの創業者である内藤恵梨さんは、世の中にあふれる「もったいない」をビジネス化し、社会に還元することを経営理念に掲げる女性起業家です。高校卒業後に海上自衛隊に入隊し、退職後は司会業として独立。その後、株式会社ENを設立するなど、多彩なキャリアを経て、起業家として新しい挑戦を続けています。
本業の傍ら、森林ボランティア事業「TAKENOEN」を立ち上げ、約60名のメンバーとともに竹林整備や地域貢献活動を実施。地域の資源を活かし、環境と社会に価値を生み出す取り組みを積極的に進めています。
Instagramでは、現場での竹林整備やメンバーとの取り組み、イベントでの講師姿などを発信。起業家として奮闘する一方で、トライアスロンやディンギーヨットなど、プライベートでもアクティブに活動する内藤さんの力強さが感じられます。
Reference Site
林業における女性の活躍:林野庁