Reliance on on-site design and construction creates a negative cycle: Industrializing and standardizing the construction process to maximize the benefits of wood
Updated by 加藤聡悟 on January 15, 2026, 9:04 PM JST
Sougo KATO
Leaf Rain Co.
After working for a financial institution researching companies in the high-tech field, he worked as a supervisor at a landscape construction site before setting up his own business. He is interested in the materials industry, renewable energy, and wood utilization, and in recent years he has been writing about the forestry industry. With his experience of working in the forests in the past, he aims to write articles that explore the connection between the realities of the field and the industrial structure.
第1回で見たように、木造建築は技能不足と生産性低下に直面する建設産業にとって、工業化と省技能化を可能にする現実的な選択肢である。しかし日本の現場では、木造化は必ずしも「扱いやすい工法」として定着していない。木質建築では施工プロセスの工業化・標準化が部分的にとどまり、特に意匠や造作では現場依存が残っている。このため工程が不安定化しやすく、現場からはむしろ「難しい建築」と受け取られる場面も少なくない。こうした特性が耐火・耐震といった制度要件と重なることで、非住宅分野ではなおハードルが高くなる。本稿では、日本の木質建築が現場で直面する摩擦を整理し、それを通じて生産性向上の前提条件を明らかにする。
非住宅建築は用途や規模の関係から、住宅に比べて耐火・耐震性能などの要求水準が高く、制度面のハードルが高いことが一般に指摘されている。ただし現場を見ると、それだけでは説明できない側面もある。木質建築が扱いにくいと感じられる理由の一つは、施工プロセスに手間がかかりやすい点にある。
日本では構造材のプレカット化がほぼ標準化し、柱や梁は工場加工で現場に届く。つまり木は工業化できない素材ではない。
一方、特に「木質建築らしさ」を表現する内外装の意匠部分では、部材単位で規格化・製品化されたものがまだ少ない。そのため化粧梁やルーバー、木製パネル、役物(やくもの・特殊な形状の部材)などは、現場で寸法を取り加工・調整を行う造作として扱われることが多い。これが木工事の工程比重を高め、施工全体のボトルネックになりやすい。さらに他工種との干渉や、汚れ・傷への弱さから養生や手直しの負荷も増える。結果として木質建築は、制度面に加えて施工面でもハードルを抱える。

海外の木質建築では、構造材だけでなく、内外装を含む多くの部材がプレファブ化・標準化され、現場は基本的に組み立て中心のプロセスとして設計されている。一方、日本では意匠・造作の多くが現場加工に依存し、この違いが工期や生産性の差につながっている。加工・調整作業の増加は人員不足とも相まって工期遅延を起こしやすい。
工期が逼迫すると工種が重なり、動線や養生が確保されにくくなる。その結果、木部が塗料や接着剤、モルタル汚れにさらされやすい。木材は溶剤や強アルカリ性洗剤、強酸性洗剤を使えず、研磨補修も外観を損ねやすいため、軽微な汚れでも手直しや交換が必要となり、さらに工程を圧迫する。
また工程逼迫下では、造作・清掃・検査といった本来段階的に行う工程が同日に組まれることも少なくない。こうした圧縮は品質確認の余裕を奪い、見落としや引き渡し後のトラブルを招きやすい。現場造作の多さは、工程の後ろ倒しや工種の重なりを招き、それによって養生の省略、さらに仕上がり面の汚しが多発することで、最終的には補修や手直しの負荷を増やすという連鎖を生みやすい。
本稿で整理した摩擦は、木材そのものの欠点ではなく、意匠や造作が部材化されていないことや、現場調整を前提とした進め方に由来している。したがって問われているのは現場の努力ではなく、施工プロセスの上流設計である。その設計の中身として重要なのが、意匠部材の標準製品化と、木は後補修が効きにくい素材であることを前提に、施工管理する側が、業者任せにせず工程と品質をあらかじめ設計・管理するという考え方である。技能や作業条件に左右される不確実性を減らし、施工をできるだけ単純化していかなければ、木質建築が本来持つ省技能性や高生産性といったメリットには到達しない。(株式会社リーフレイン 林業ライター 加藤聡悟)