Where is the bottleneck in Japan's forestry work? The key to reducing costs is forestry roads and forest intensification strategies
Updated by 小林靖尚 on February 26, 2026, 11:14 AM JST
Yasuhisa KOBAYASHI
Alpha Forum, Inc.
President of Alpha Forum, Inc. and Steering Committee Member of the Platinum Forest Industry Initiative. Ltd. in 2001, taking advantage of the company's venture support program. In September 2023, he received the Wood Use System Research Association Award.
*Previous column is here.
Recommendations for High-Quality Forestry] Investment in forestry roads will increase productivity Gravel bedding is 40 cm, twice that of Japan.
前回の続きを少し掘り下げたい。少しマニアックな話であることをお許しいただきたい。AustriaのSteiermark(オーストリア・シュタイアーマルク)州で、コンラッド社の案内で車両系素材生産現場と架線系素材生産現場、さらにPichl(ピヒル)研修所の演習林を見学した。いずれも作業道は入っておらず、10トン車超のトレーラが入れる「林業専用道」で造材土場まで行けるようになっていた。先方からは「中長期的に見て素材生産コストを下げるために架線系(タワーヤーダ)の活用と、林業専用道の計画が重要だ。」とのコメントをいただいた。つまりフォワーダの利用または移動距離を極力減らすことが有意義ということだ。
我が国の車両系を中心とする林業現場では、キャタピラ式のフォワーダが一般的である。500m以下の作業道を10km/h程度以下(実際はスムーズに動いて直線で100m/min程度、カーブで40 m/min程度、あわせて50 m/min程度とする)のフォワーダが往復している。フォワーダ運搬距離が500mとすると往復で約20分、丸太の積込で10分、荷下ろしで10分、計40分で1時間に1.5往復できるかできないかだ。もちろん距離が短くなれば往復回数は増える。フォワーダの積載量は4~7トン/回、平均的に5トン/回(水分比率50%〈Wet Basis〉≒6.6立方メートル程度)となる。1日5時間稼働すると6.6立方メートル✕1.5回/h✕5時間≒50立方メートル/日。1年間に250日稼働すれば12,500立方メートル/年・班だ。
ところが、悪天候日は作業を休む。また林業現場が変わる場合、重機はトラックやトレーラに載せて運ぶ必要がある。機械の故障やメンテナンスによって動かせない日もある。実際の作業日数は150日/年程度とみる。すると、1作業班で7,500立方メートル/年だ。

丸太は末口径の二乗✕長さで容積を計算する。末口径50cmで4mは1立方メートル、25cmで4mの丸太は4本で1立方メートルだ。伐期を迎えている針葉樹の胸高直径は30~50cmあり、元玉~4番玉まで計1立方メートルはあるとする。林道からハーベスタで伐倒~枝払い~玉切り~土場はい積(丸太の仕分けと積み上げ作業)まで、ハーベスタが届く範囲であれば少しずつ動きながら15立方メートル(本)/hは生産できる。チェーンソー伐倒でも6立方メートル(本)/h、それをプロセッサで枝払い~土場はい積していくことは可能。ハーベスタ造材(またはプロセッサとして使いながら)とチェーンソー伐倒を併用すると18立方メートル(本)/h程度の機械能力はある。この作業を実質5時間行うと90立方メートル/日となる。実質150日林業で13,500立方メートル/年・班だ。
律速(ボトルネック)であるフォワーダは、丸太の積み下ろしも含めて3往復/hすればバランスする。ということは、丸太の積込で10分、荷下ろしで10分だから、移動距離0mで3往復だ。これでは現実性がないので、積込7分、荷下ろし(選木なし)7分まで短縮できれば6分移動できる。実質50 m/minだから往復で300m、片道100~150mまでが妥当なところだろう。現在の作業移動距離が長すぎるので、そこが律速になっていることは明らかだ。皆伐でフォワーダを無くせば1作業班(3名)で10,000立方メートル/年は充分に目指せるのだ。我が国でもそれ以上に素材生産の実績を上げている作業班は複数ある。フォワーダ利用の少ないAustriaでは間伐でも1万立方メートル/年超、皆伐では2万立方メートル/年超だ。
4~7トン積のフォワーダは4,500万円/台程度だ。5年で償却すると900万円/年程度のコストと考える。ランニングでかかる軽油は10リットル/時間程度だから、5時間/日で150日稼働だと750時間、ゆえに7500リットル/年✕軽油単価100円(免税軽油)としても75万円、一人の年間給与予算が600万円、メンテナンス費用は150万円/年とすると、合計で1,725万円の経費と考えられる。
林業専用道規格相当で10トン車が通れる道を開設する補助金は25,000円/m程度、これは基本50%補助だから事業者側が同額を負担すると、17,250,000円/25,000円=690m分の林業専用道の開設が可能となる。(5万円/mで林専道が開設できるかは、それぞれの対象地の条件を詳細に検討する必要がある。)5年間分を考えると3,450m分、10年だと6,900m分だ。今後は蓋然として循環林道を計画すべきであることを付け加えたい。
林業専用道は素材生産効率を向上させるための要件であるので、あれば良いというものではない。地形に応じて合理的な線形を計画し、また、ターゲットとなる林地の素材を効率的に搬出できなければならない。どのように計画をしていけば良いのか? Austriaの効率に追いつくまでは諸条件の違いもあり困難ではあるが、わが国での林専道計画と森林集約化計画を一体的に考えたい。
森林を集約することが目的ではなく、素材生産の効率を飛躍的に高めることを目的とする。私が関与するプロジェクトでも「航空レーザ計測情報」を活用させていただいており、どのあたりにどのくらいの素材蓄積量があるのか? は、ざっくりと俯瞰できるようになった。これまでは地元の生産組合や、自ら踏査を行わないと見えなかったものが、航空レーザ計測により飛躍的に見えるようになっている。下図に、集約化ターゲットの絞り込みプロセスを整理する。

集約し易そうだから、とりあえず…ではコストダウンは実現できない。まず「目標」を決める。森林集約化は森林の価値が向上しないと集約化する必要がないので、経済的な価値向上を定量化するところまで検討する。
前述したように、林業専用道がどこで、どこまで開設できるか? そのコストはどのくらいなのか? 作業道すなわちフォワーダ距離を短くすることがどこまで可能かまで検討して集約化対象地を決定したい。
コストダウンは継続的な稼げる林業のための一つの手段だ。目的は地域の中で継続的な雇用を生み出し、経済合理性を備えた森林資源の活用を継続すること、地域から漏れ出る貨幣を抑えた地域経済循環だ。
森林は地積調査が不十分ななかで、「集約化」という言葉が浮いている気がする。集約化の対象地は経済的に説得力を持たなければならない。林業によって生み出される資源をどう利用するのか? どのくらいの量をどのくらいのコストで生産するのか? そのための林業専用道の線形イメージができるか? の整理ができないと、とりあえず集約化で終わってしまうだろう。
多くの権利や法令が立体的に錯綜するなかで、考える順番、表現する順番を間違えたくない。あくまでも目的からのバックキャスティング(「実現したい未来の姿」や「目標」を明確に設定し、そのゴールを達成するために「現在何をすべきか」を逆算して考える思考法)で事業をすすめていくクセをつけたい。これまでの常識や商慣行の延長で課題解決をしないという覚悟も必要だ。
Austriaの素材生産効率は与条件が違うから無理…と考えず、それ以上の素材生産効率を目標として行動する覚悟を持ちたい。(株式会社アルファフォーラム・代表取締役社長、プラチナ森林産業イニシアティブ・ステアリングコミッティー 小林靖尚)