The Aesthetics of Wood and Musical Instruments as They are Carved and Polished – The Structure of Wood Value as Seen from a "35% Yield"
Updated by 小林靖尚 on April 09, 2026, 9:21 PM JST
Yasuhisa KOBAYASHI
Alpha Forum, Inc.
President of Alpha Forum, Inc. and Steering Committee Member of the Platinum Forest Industry Initiative. Ltd. in 2001, taking advantage of the company's venture support program. In September 2023, he received the Wood Use System Research Association Award.
丸いものが四角くなる。木材は丸太を成形して、四角い柱や梁桁に形が変わる。もともとの容積から削り取られるので、残った製品は丸太よりも高価になることは蓋然性が高い。では、丸太からはどのくらいの歩留まりになるのか? 簡単に計算してみる。
我が国の林業では、丸太の末口の直径の二乗に長さを掛けて体積を計算する。製材用丸太となる容積を100とする。集成材の比率が上昇しているので、ここでは集成材を前提にする。集成材は挽板(一次挽きラミナ)をつくり、次に接着剤で貼り合わせ易いように表面を平らに加工し、接着した後に最終成形加工を施して製品となる。
一次挽きラミナをつくるときに、約50%の容積が削り取られる。最も歩留まりの良い中目丸太(直径24cm)でも、粗削りラミナになるのは60%程度の容積だ。バンドソーやギャングリッパでの挽代(おが屑)、背板(三日月型の長尺材)が削除される。一次挽きラミナは木材の表面がざらついており、接着剤の量を減らすためにも表面を平らに加工する必要がある。

<粗削乾燥ラミナの寸法変化>
・木材は乾燥(15% d-b)させると縮む。37mm✕135mmの断面は36mm×127mm程度になる。
・乾燥後、bを上下1.5mmずつ、計3mmモルダで削る。
・その後フィンガージョイント(FJ)して、集成材やCLTとして貼りあわせる前に1.5mmずつ計3mmモルダで削る。
・合計b方向で6mm削る。仕上がりは30mm
・aは乾燥後1~2mmずつ、計2~4mm、FJ後1~2mmずつ、計2~4mmモルダで削る。
・合計a方向で4~8mm程度削る。仕上がりは120mm

<モルダ切削による歩留まり>
・加工後:30×120=3600
・加工前:37×135=4995
∴(ゆえに) 3600/4995=0.721 ≒ 72%
<欠点切除によるハネ比率>
ラミナの死節、一定以上の丸みは切除してFJへ。また、納品されたラミナの中で、ラミナごとハネる場合がある(輸送中の曲がりなど含む)。これで、少なく見積もっても2~3%は歩留まりが落ちる。
∴ 72%-2%=70%
歩留まりは70%と想定できるため、原木丸太からみると、50%×70%=35%が製品になる。
<丸太の歩留まりから価格を考えると…>
ラミナ製材用の原木丸太が15,000円/立方メートルとすると、原木容積の35%が製品だから、15,000円/0.35≒42,857円である。これに加工賃、運送賃、その他経費、製材会社等の利益が入ると集成材やCLTの容積(立方メートル)単価が7~8万円になっていくわけである。
実際、製材所は最終製品までに削り取られる65%の容積分を、廃棄物とはぜずにパルプチップで売ったり、畜産関係に出荷したりの工夫で有効活用している。
私は趣味でクラシックピアノを習いなおしている。3歳から中学生までピアノ教室で習っていたが、その後テニスやスキーの体育会に入ったことをきっかけに40年ぶりにやりなおしている。譜読みも遅くなっており、ようやくBeethovenのピアノソナタやChopinのノクターンやワルツを人に聞かせられる程度まで戻ってきた。ピアノの響き、実は木の響きなのだ。弦を弾いたのち「響板」という木の板で音を増幅させているイメージだ。響板にはスプルスという針葉樹を柾目使いすることが多い。
この木材使用量とグランドピアノの価格を比較してみようと思ったが、より高価な楽器に興味を持ったので、バイオリンで考えてみよう。


バイオリンの完成した楽器の重さは約400〜500グラムほどだ。これはニスや金属部品も含んだ重さなので、木材だけの重さは300グラムと考えてみる。バイオリンの価格は入門練習用の10万円以下から、ストラディバリウスの1億円超まで幅が広い。オーケストラのコンサートマスターが使うバイオリンは1,000万円程度であろう。
300グラムの木材は絶対乾燥状態ではなく、これを7%(重量乾燥率:DB)と考える。これは何立方メートルになるのか? スプルスの比重を0.42とすると1立方メートルで420,000グラムだ。1:420,000=x:300だから、x=0.000714立方メートルとなる。1,000万円の価値のうち、木材の価値の比率を決めることは困難だが、木が表現する芸術性を含め約1/3の350万円は木の価値だとする。
∴ 0.000714立方メートルで3,500,000円だから、約49億円/立方メートルだ!
バイオリンの木部の価値が1/300だとしても4,900万円/立方メートルだ。末口直径50cmで4mの丸太1本は1立方メートルで、1本100万円としても49本の中から選び抜かれた300グラムということだ。
楽器に使われる選びに選び抜かれた木材。だからクラリネットやファゴット、オーボエなどの木管楽器、そしてバイオリンやチェロの弦楽器で使われている木材が木材のエリート中のエリートで最も高価だと思う。
オーケストラをバックにラフマニノフのピアノ協奏曲2番の演奏が始まる。そっと目を閉じる。まずピアノから、次いで弦楽器が響きだす。この響きが「もう一つの木の色」と感じる。新しい木(樹)の楽しみ方をどうぞ…(株式会社アルファフォーラム・代表取締役社長、プラチナ森林産業イニシアティブ・ステアリングコミッティー 小林靖尚)