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Survey on Wooden Condominiums: 1] Sei-katsu-sha place importance on housing performance and comfort, but there are challenges in promoting environmental friendliness.052

[Wooden Apartment Awareness Survey: 1] Residents place importance on housing performance and comfort

Updated by 滝澤悠太 on June 19, 2025, 11:06 AM JST

滝澤悠太

Yuta TAKIZAWA

(Platinum Initiative Network, Inc.

2019年長野県庁に入庁。建設事務所にて公共工事の入札・契約事務、福祉事務所にて障がい者福祉及び生活保護ケースワーカーを担当。2024年よりプラチナ構想ネットワークに出向中。

プラチナ構想ネットワークでは、「2050年までに9階建て以下の新規建築物を木造化・木質化する」ことをビジョンとして掲げ、木造都市の実現を目指している。近年、「技術の進歩」や「政策の後押し」により木造都市が注目されるようになってきている。こうした変化の中、生活者がどのような考えを持っているのかを知ることは木造都市の推進に重要だ。そこで、当会では、生活者アンケートを活用し、最近注目を集めている「木造マンション」に関する意識調査を実施し、特に生活者に深く関係すると思われる木造住宅(マンション)に対する考えを把握することとした。

1000人を対象にアンケートを実施

本調査は、三菱総研グループが持つ生活者向け市場調査のシステムであるmif(生活者市場予測システム)により、2024年9月に実施した。サンプル数は1,000(男:女=500:500)。調査結果のポイントを4回に分けて報告する。第1回は、「Q. 住宅を購入または賃貸する際、木造マンションの長所をどの程度考慮するか?」に対して得られた回答結果を紹介する。

木材利用による効果(メリット)は、林野庁「建物の内装木質化のすすめ」でも明記されているとおり、【心理面の効果】、【身体面の効果】、【衛生面の効果】、【学習・生育面の効果】、【生産性の効果】、【経済面の効果】、【企業価値向上の効果】、【社会貢献する効果】に大別される。その中から、木造マンションに関連する次の具体的な7個の長所について調査し、回答を得た。結果は以下のとおりである。

全体の傾向としては、「機能面(断熱性・湿度調整・安全性)」や「快適性(リラックス効果)」に関する項目は高い重視傾向が見られた。一方で、「環境貢献(地球温暖化防止)」や「衛生面の付加価値(消臭・抗菌、ダニ防除)」については、やや評価が分かれている。

・重視度の高い項目(「考慮する」「どちらかというと考慮する」が6割超)から考えられる生活者の傾向と可能性
(ア) 湿度を適切に保つ機能:快適性や健康面に配慮している
(イ) 断熱性:住宅性能への関心の高さが伺える
(ウ) 衝撃に対する安全性:安全面への関心が高い
(エ) 心地よさ・リラックス効果:感覚的な快適さも重視する
(カ)ダニの防除効果:衛生面にも一定の関心がある

・意見が分かれる項目(「どちらともいえない」が3割以上)から考えられる生活者の傾向と可能性
(オ) 消臭・抗菌効果:効果の実感が得にくいためか、判断が分かれるか
(カ) ダニの防除効果:効果の可視化の難しさが判断を分けるか
(キ) 地球温暖化の防止:自身の生活との結びつきが薄いと感じられている可能性

・重視されにくい項目(「考慮しない系」が1割以上)から考えられる生活者の傾向と可能性
(オ) 消臭・抗菌効果:認知や信頼性が低い可能性
(キ)地球温暖化の防止:環境貢献は関心が低め。日常生活の優先度に劣るか

本調査により、生活者は住まいとしての性能や快適さを重視する傾向が顕著であることが明らかになった。一方で、環境配慮の長所は重視されにくく、行動選択に直結していない様子が伺えた。また、可視化しにくい効果は、説得力や説明が不十分であると判断される可能性があることが示唆された。

効果や魅力を体感的に伝える工夫が必要

調査結果から見える生活者の意識傾向を踏まえると、木造マンション、さらには木造都市の魅力を適切に伝えていくためには、情報の特性に応じた発信手法が重要である。

まず、断熱性や湿度調整機能といった住宅性能については、信頼性をもって伝えることが求められる。そのためには、性能を裏付ける定量的なデータや第三者評価、実際の導入事例などを用いることで、客観的かつ説得力のある訴求が可能となる。

一方で、木のぬくもりやリラックス効果といった感性的な魅力については、数値では伝えにくい側面がある。そのため、実際の居住者の声や生活の様子などを紹介し、体感的に伝えることが効果的である。共感や情緒に訴えることで、生活者の関心を惹きつけやすくなる。

また、消臭・抗菌効果や地球温暖化防止への貢献といった視覚化しにくい価値については、冷暖房費の削減や健康面への好影響など、具体的な生活上のメリットと結び付けることによって、より納得感のある情報として伝えることができる。

さらに、「地球環境にやさしい住まい」という価値観については、それが単なる環境配慮ではなく、「次世代の暮らしを守るための選択」であるという視点を明確に打ち出すことで、より多くの生活者の共感を得る可能性がある。

木造都市の推進には、このような生活者目線に立脚した情報提供を通じて、木造マンションの、ひいては木造都市の特性や価値を社会に広く浸透させていくことも必要である。(プラチナ構想ネットワーク 滝澤悠太)

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