Commercialization of the "mass balance method" for bionaphtha imports by major domestic petrochemical companies.
Updated by 鎌形 太郎 on May 20, 2026, 8:15 PM JST
Taro KAMAGATA
(Platinum Initiative Network, Inc.
After graduating from Keio University with a degree in economics in 1982, he joined Toppan Printing Co. In 1988, he moved to Mitsubishi Research Institute, where he was in charge of urban and regional management and public-private partnerships (PPP, PFI, etc.). He later became an executive officer and served as Director of the Regional Management Research Division, Director of the Platinum Society Research Division, and Managing Executive Officer and General Manager of the Research and Development Division, etc. He was seconded to Mitsubishi Research Institute DCS as Senior Managing Director in 2018, retired as an officer of Mitsubishi Research Institute in 2021, and became an advisor to Platinum Initiative Network in 2022. Leader of the Secretariat of the Platinum Forest Industry Initiative.
前回は、木質バイオマス資源等を活用してバイオ燃料などを生産する海外企業の事例を紹介しました。今回はこれとは対照的に、海外企業からバイオナフサなどを輸入し、それを化学原料として活用しながら、マスバランス方式(※注1)により商用販売を開始している国内企業の取組を紹介します。
海外から輸入したバイオナフサを活用した化学原料生産にいち早く取り組んだ企業の一つが三井化学です。同社は2021年、フィンランドのエネルギー関連会社のNesteのバイオベース炭化水素(いわゆるバイオナフサ)を大阪工場のナフサクラッカーに導入しました。
ISCC PLUS(※注2)に基づくマスバランス方式を活用し、オレフィン類やフェノール系製品などの「再生可能原料割当」製品群を商業展開しています。2022年以降は、バイオポリプロピレンやバイオフェノールチェーン(BPA、エポキシ樹脂など)へと対象品目を拡大してきました。供給元であるNesteに加え、サプライチェーン連携を担う豊田通商、バイオポリプロピレンの製造を行うプライムポリマーなどと連携しながら、量産および販売拡大を進めています。
また同社は、廃プラスチックなどを原料として再利用する「マテリアルリサイクル」や、使用済みプラスチック等を化学的・熱的に分解して原料やモノマーに戻し、再びプラスチックや化学品として利用する「ケミカルリサイクル」による製品供給にも積極的に取り組んでいます。廃プラスチックを原料とした熱分解油を、2024年に同社大阪工場のクラッカーへ投入し、マスバランス方式によるケミカルリサイクル由来の誘導品(化学品・プラスチック)の製造・販売も開始しています。

出光興産は、石油精製から基礎化学品までを一体的に担うバリューチェーンを活かし、海外からバイオマスナフサを調達してバイオ化学品をマスバランス方式で展開し始めています。具体的には、バイオスチレンモノマー/バイオポリスチレン、バイオパラキシレンなどを対象としています。海外を含む拠点でサプライチェーン構築を進めており、マレーシアではIdemitsu SMおよびPetrochemicalsにおいて、バイオスチレンモノマーからバイオポリスチレンを生産する体制を整備しています。
また、同社の子会社であるケミカルリサイクル・ジャパンは、国内の使用済みプラスチックの再資源化に貢献する油化ケミカルリサイクル設備(使用済みプラスチック処理能力:2 万トン/年)の商業運転を市原事業所で4月より開始しました。

レゾナックは、Nesteおよび丸紅と協業し、Nesteの再生可能原料「Neste RE」を大分コンビナートのエチレンプラントに投入し、再生可能オレフィンおよびその誘導品をマスバランス方式で市場供給する計画を進めています。原料の使用は2024年6月から開始されています。
Nesteが製造したバイオマス原料「Neste RE」は、レゾナックがエチレンプラントを有する大分コンビナートに供給されます。同コンビナートは多様な原料を処理できる柔軟性を有しており、従来は石油由来原料を使用してきましたが、本取組により、原料の一部をバイオマス由来原料に置き換え、温室効果ガス排出量の削減が期待されます。
なお、レゾナック、丸紅、Nesteの3社はいずれもISCC PLUS認証を取得しており、本制度に基づくマスバランス方式を用いて、レゾナックおよびNesteはバイオマス認証付き製品の製造・販売を行い、丸紅は本協業におけるサプライチェーン構築および物流マネジメントを担う役割を果たします。
このように、国内大手の石油化学企業を中心に、海外からバイオマス燃料を輸入し、それを化学原料として活用することで、マスバランス方式による商用販売が本格化しつつあります。ただし、国内のバイオマス資源を活用し、化学原料として商用化に至っている事例は、現時点ではまだ見られません。
一方で、国内の使用済みプラスチックを再資源化するケミカルリサイクルについては、政府の政策もあり、少しずつ商業化の動きが出始めています。
国内のバイオマス資源を化学原料として活用する商業化の事例はまだありません。輸入したバイオマス燃料であっても化学原料として活用することは脱炭素化の推進に向け有効ですが、国内には、有効に活用されていないバイオマス資源である森林資源が豊富にあります。これまで輸入資源への依存度が高かった我が国において、今後は豊富に存在する国内バイオマス資源である森林資源を活用した商用化を推進していくことを期待したいです。(プラチナ構想ネットワーク顧問 鎌形太郎)
※注1
マスバランス方式:バイオマスや再生可能原料といった持続可能原料と非持続可能原料を混合して製品を製造した際に、投入した持続可能原料の投入量割合に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。
※注2
ISCC PLUS :ISCCは「International Sustainability & Carbon Certification」の略称で、バイオマスや再生可能原料、製品などについて持続可能性が保たれ、サプライチェーン全体で適切に管理されているかを担保する国際的な認証制度。ISCC PLUSはEU域外の製品が対象で、バイオ燃料や製品だけでなく、リサイクル原料や製品、食品、飼料、技術的および化学的アプリケーションも対象。とりわけ、化学産業および加工産業(包装産業など)における廃棄物からのバイオマスまたはリサイクル原料の持続可能な使用を証明するために、世界中で認知されているプログラム。