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白川湖でアートイベント「水没林ライトアップ」 湖面を彩るシロヤナギ林を観光資源化008

Updated by 『森林循環経済』編集部 on April 13, 2025, 9:51 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

山形県飯豊町の林業者らが4月19日よりアートイベント「白川湖の水没林ライトアップ」を開催する。春の雪解けによって湖岸のシロヤナギ林が水に沈む自然現象「水没林」を活用し、光と闇が織りなす幻想的な景観を演出する。実施にあたっては、クラウドファンディング型ふるさと納税による資金調達も始動しており、地域資源を活用した持続可能な観光施策として注目される。

クラウドファンディング型ふるさと納税と連携

白川湖の水没林は、日本百名山・飯豊連峰の豪雪によって育まれる春の風物詩だ。雪解け水の流入で満水を迎えた湖は、湖岸のシロヤナギ林を水面下に沈め、まるで木々が水中から立ち上がるような風景を生み出す。2か月間だけ白川湖岸公園から間近で楽しむことができ、近年ではSNSで話題を呼び、ゴールデンウィークを中心に観光客やカメラ愛好家、キャンパー、カヌー体験者など幅広い層に親しまれている。

自然の造形美を照明で演出するイベントは、自然資源を損なうことなく観光資源化する点において、環境配慮型の地域観光の好例といえる。

今回のライトアップは、クラウドファンディング型ふるさと納税により運営資金の一部を賄う。これは、地方自治体が自律的に観光資源を磨き上げ、共感を得た寄附者とともに地域課題を解決していく仕組みだ。寄附者には返礼品として地域の特産品が用意されており、関係人口の拡大と地域経済への波及効果が期待される。

山形県飯豊町は面積の80%以上が森林。過疎化で林業従事者が減少し、豊かな森林の管理が難しくなってきている。地域振興策として、芸術家による滞在型作品制作イベント「木の作り手プロジェクト」なども行っている。

森林や水辺の景観は観光資源としての潜在力を秘めているが、いかに「持続可能な形」で利活用するかが課題だ。白川湖の取り組みは、森林産業や地域インフラに直接関わらない立場の人々にも、自然環境の価値とその保全の必要性を印象づけるものとなる。地域の気候・地形・森林条件に応じた観光コンテンツの創出は、地方創生や森林文化の再評価にもつながる。

【白川湖の水没林】白川湖畔での一日 – YouTube

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