Updated by 『森林循環経済』編集部 on May 14, 2025, 10:41 AM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
森林資源の循環的活用と自然共生型社会の構築に関心が高まるなか、「循環葬(R)」を監修するat FORESTは5月25日、大阪府の能勢妙見山にてペットと楽しむ自然共生イベント「WITH PET WEEKEND」を開催する。このイベントは保護犬猫活動を展開する認定特定非営利活動法人アニマルレフュージ関西(アーク)との共催で実施。自然と調和する循環型の埋葬文化と、命の尊厳を重視する動物保護活動が交差する場として企画された。
循環葬は、「森と生きる・森に還る・森をつくる」を合言葉に、自然に還ることを前提とした埋葬サービスだ。墓標などを設けず、土壌学の専門家監修のもとご遺骨を森林に埋葬する。「家族の一員」であるペットの遺骨も一緒に納めることができるプランも提供。都市部での墓地不足や継承問題への新たな選択肢としても注目されている。今回のイベントでは、こうした自然観や死生観、そして森との関わり方をペットとの関係性の中で改めて考えるきっかけを提供する。
アークは、30年以上にわたり関西圏を中心に動物の保護・譲渡活動を展開してきた実績を持つ団体だ。循環葬が提唱する「自然と命のつながり」と、アークが掲げるアニマルウェルフェア(動物福祉)の向上という理念には共通する土台がある。
今回のイベントでは、アークによる保護犬猫とのふれあいコーナーや、新緑のなかでの愛犬撮影会、スイーツやドリンクの提供など、命のつながりを五感で感じる多彩なプログラムが用意されている。
会場となる能勢妙見山は、古くから北極星信仰の聖地として知られ、ブナ林を所有する寺院でもある。at FORESTは放置林を再生させた森を循環葬の第一拠点としている。都会の喧騒から離れた静寂な環境は、命との向き合い方を見直すにはふさわしい場と言えるだろう。自然豊かな森林でペットと共に過ごす体験は、都市生活者にとって魅力的なものであり、森林への関心を高めるきっかけとなり得る。
今回のイベントは一過性の催しではなく、循環型社会における命の尊重と自然資源の活用方法を再考する一つの実践例といえる。森林産業に関わる者にとって、こうした動きは森林の新たな利用価値を見出すヒントとなるだろう。木材生産という従来の役割に加え、人々の精神的な充足や自然回帰のニーズに応える空間としての森林の可能性を示唆している。