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木造×鉄骨のハイブリッド構造で12階建てホテル実現 日本木造耐火建築協会、都市木造の先進モデルを解説する見学セミナー開催へ046

Updated by 『森林循環経済』編集部 on May 24, 2025, 10:00 PM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

東京・日本橋兜町で建設が進められていた都市型ホテル「キャプション by Hyatt 兜町 東京」が6月30日に竣工予定だ。この地上12階建て・客室数195室のホテルは、主構造を鉄骨造とし、3~12階の外周部の柱や梁の一部を木造化する「木造ハイブリッド構造」を採用しており、都市部・非住宅分野における木造建築の先進事例として注目されている。

都市木造の技術的課題と解決手法を解説

この建物は、平和不動産が推進する日本橋兜町・茅場町の再開発プロジェクトの一環として建設されたもので、設計・施工にあたっては高い耐火性能と構造安全性が求められた。木材を用いることで空間に自然の質感や温かみをもたらしながらも、不特定多数が利用するホテルという用途の特性に対応するため、建築基準法に則った高度な耐火設計が施されている。

3~8階の木間柱は長期荷重を負担しない設計とし、木構造材の現しを実現。9~12階の木柱には1時間耐火構造を採用し、3~12階の梁の一部にも1・2時間耐火構造を採用している。また、ガラス越しに木部が見通せることで、遠景・近景からも木造ハイブリッド構造であることを認識できる外観デザインとなっている。

こうした設計技術や構造の工夫を業界関係者へ広く紹介するため、同プロジェクトに協力した日本木造耐火建築協会は、7月1日・2日に完成見学セミナーを開催する。同協会は、非住宅分野や都市部における木造建築の普及を目的に、耐火構造の設計技術支援や認証制度の整備などに取り組んでおり、本件を今後の木造推進の「先行モデル」と位置づけている。見学セミナーでは、設計・施工・認証に関わった関係者が登壇し、都市木造の技術的課題とその解決手法について詳しく解説する予定。

今回のプロジェクトは、国土交通省「令和4年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されており、都市景観との調和や環境負荷の低減、そして地域産材の活用といった観点からも注目されている。日本木造耐火建築協会は、都市・非住宅・高層の木造活用が進むことで、森林資源の循環利用や脱炭素社会の実現にも貢献できると位置づけている。

■「キャプション by Hyatt 兜町 東京」建物概要
建築主:平和不動産株式会社
設計:株式会社三菱地所設計(木材・防耐火アドバイザー:株式会社シェルター)
施工:株式会社大林組
インテリア設計:ミッチェル アンド イーズ
木材加工・施工:株式会社シェルター
用途:宿泊施設(客室数 195室)
地域地区:防火地域、商業地域
構造:鉄骨造、一部 木造(地下:鉄筋コンクリート造、一部 鉄骨鉄筋コンクリート造)
敷地面積:1,093.59平方m
建築面積:864.76平方m
延床面積:9,977.66平方m
階数:地上12階、地下1階
工期:2023年4月19日~2025年6月30日
開業:2025年秋(予定)

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