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既存塗料を剥がさず再塗装する施工技術「リオペーク」 メンテナンスの技術革新が木造建築の普及を後押しへ054

Updated by 『森林循環経済』編集部 on May 31, 2025, 10:00 AM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

ログハウスブランド「BESS」を展開するアールシーコアは、木造建築の再塗装時に既存塗料を除去する作業が不要となる施工技術「リオペーク(BESSオリジナル下地処理剤と独自施工方法)」を開発した。従来の方法では不可欠だった費用・労力や剥離剤が必要なくなり、低コストかつ環境に配慮した木造建築のメンテナンスを実現した。

再塗装費用と労力の半減を実現

これまでの木造建築では再塗装する際、既存塗料の残留物などを除去する必要があった。また、環境負荷の大きい成分を含んだ剥離剤を使用する場合もあり、作業環境および環境負荷の観点から課題が指摘されていた。

「リオペーク」では、既存塗料を除去するためのケレン作業・ブラスト処理・剥離剤使用を不要とし、耐久性の高い再塗装を可能にする。BESSオリジナル下地処理剤の製造には、安全面や環境に配慮した塗料を開発しているキャピタルペイントが協力している。本技術は2025年4月に特許を取得した。

「リオペーク」を用いたログハウスの再塗装の施工例

アールシーコアが自社ブランドの木造住宅で「リオペーク」を実施したところ、再塗装時の下地処理工程は、一般的なケレン作業と比較して、費用・労力がいずれもほぼ半減したという。また、複合型商業施設の外部木部歩道の一角で「リオペーク」の実証実験を行い、高い対剥離性を確認したという。

建築物への木材利用を推進する上で、維持管理にかかる費用や労力、環境負荷の問題は無視できない。効率的な木造施設のメンテナンス方法の確立は、建築物の木造化や木質化を後押しする力となる。約40年にわたって木造住宅を展開してきたアールシーコアが持つ知見と技術は、施工者の負担を軽減すると共に、積極的な木材利用に貢献する可能性を秘めている。

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