Updated by 『森林循環経済』編集部 on June 05, 2025, 12:18 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
非住宅建築の「木造・木質化」に関する最新技術とソリューションが一堂に会する「非住宅木造建築フェア2025」が6月4日、東京ビッグサイトにて開幕した。従来、木造建築は規模や耐火性能の面で限界があるとされてきたが、近年の技術革新によりその適用範囲は大きく広がっている。都市部での中高層建築を可能にするCLT(直交集成板)をはじめとする最新の構造材や、木造建築の課題であった耐火性能を克服する新しい部材や工法が多数展示されている。開幕初日から多様な関係者が訪れ、会場は熱気に包まれていた。開催は6月6日までの3日間。
今回のフェアでは、非住宅木造建築分野に本格的に参入する大手企業の存在感が際立っている。大手ゼネコン各社は、高層木造建築や大規模プロジェクトにおける先進的な技術開発とその成果を発表している。
意匠性の高い建築デザイン事例も紹介されており、これまでの「木の建物」のイメージを覆すような斬新なデザインが来場者の関心を集めている。
高層木造賃貸オフィスビルや、大規模な木材使用プロジェクトに採用された耐火木造建築技術が詳細に紹介されており、木造建築の可能性を大きく広げる取り組みが示されていた。
構造材メーカーも、非住宅木造建築に不可欠な技術や素材を多数展示。中でもCLTの具体的な活用事例や構造的特性についての技術提案は、設計者や施工者の関心を集めていた。
また、高い構造性能と自由な空間設計を両立するソリューションの紹介や構造材から内装材までトータルな提案、設計者や施工者不足といった業界課題への対応策も提示している。
さらに、木造大空間を実現するための接合金物や設計アイデア、高耐久・高強度な木質トラス、そして木造マンションといった新しい構法や部材に関する展示も豊富に見られる。これらの技術は、非住宅木造建築の適用範囲を拡大し、多様な建築ニーズに応えるための基盤となる。
耐火性能を克服する新しい部材や工法、鉄骨造やRC造に木材を組み合わせる「木質化」の最新トレンド、複雑化する設計をサポートする構造計算システムなど、非住宅木造建築に関わるあらゆる側面からのソリューションも提案されている。
今回のフェアは単なる製品展示の場ではなく、来場者が主体的に参加できる「参加型展示会」としての側面も強い。業界の最新動向から今後の展望までを網羅する特別講演が多数開催されている。建築士が個別の相談ブースを設置しており、非住宅木造建築に関する具体的な悩みや課題について、専門的なアドバイスを受けられる。
現在、建築業界では世界的な脱炭素化の潮流を背景に、木材利用がカーボンニュートラル実現に向けた重要な施策とされている。同時に、日本の林業の活性化と地方創生への貢献という観点から、国産材の活用方法やサプライチェーン構築に関する取り組みも注目されている。
こうした背景から、非住宅分野における木造建築・木質化は単なるトレンドではなく、社会的な要請に応える主要な建築手法としてその存在感を増している。今回のフェアは、こうした市場環境の中で生まれる最新の技術や取り組みを網羅的に紹介する専門展示会としての役割を担っている。来場者は、製品・サービスに関する情報を得るだけでなく、業界の第一人者とのつながりを築き、新たなビジネスの機会を得ることができる。