[Wooden apartment awareness survey: 3] Removing concerns about structural performance such as earthquake and fire resistance is the key to popularization
Updated by 滝澤悠太 on July 17, 2025, 8:05 PM JST
Yuta TAKIZAWA
(一社)プラチナ構想ネットワーク
2019年長野県庁に入庁。建設事務所にて公共工事の入札・契約事務、福祉事務所にて障がい者福祉及び生活保護ケースワーカーを担当。2024年よりプラチナ構想ネットワークに出向中。
生活者アンケートを活用した木造マンションに関する意識調査結果の第3弾では、木造マンションに対する不安要因に焦点を当てる。
前回記事では、木造マンションが鉄筋コンクリート造(以下「RC造」)のマンションと比較して、価格(家賃)がどの程度であれば、購入(賃貸)の検討対象になるか調査した結果を紹介した。そこでは、回答者の1割強から「RC造より安くても検討しない」と回答があった。今回は、「RC造より安くても検討しない」と回答した理由について、回答結果を紹介する。
木造マンションがRC造より安価であっても検討しないと回答した111名に対し、マルチアンサー形式で理由を尋ねたところ、主な懸念は耐震性・耐火性・防音性などの性能面に集中していた。
具体的には、「地震時の倒壊リスクが高そう」(33.3%)、「火災時に燃えやすそう」(32.4%)、「防音性が不安」(25.2%)といった安全性や居住性能に対する不安が上位を占めている。さらに、「建物がダメージに弱く、居住可能年数が短そう」(19.8%)、「虫害や湿気による劣化への不安」(20.7%、18.0%)など、構造や耐久性に関する懸念も一定程度見られた。
一方、「断熱性への不安」(8.1%)や「間取りや設計の制約」(10.8%)といった項目は比較的割合が低く、居住快適性やデザインに対する否定的認識は限定的であることが読み取れる。また、「いずれの項目も当てはまらない」と答えた人も29.7%にのぼり、木造への拒否反応が必ずしも具体的な根拠に基づくものではない可能性も示唆される。
この結果から、木造マンションに対する拒否感をやわらげるには、まず第一に構造性能に関する不安の払拭が鍵であると言える。具体的には、耐震・耐火・防音・防蟻・防湿といった各種性能の客観的なデータ提示や第三者評価(性能証明・技術基準の達成)を積極的に活用し、木造の信頼性と安全性を正しく伝えることが必要である。
併せて、すでに木造マンションに居住している人の満足の声や、最新技術を取り入れた高性能木造建築の事例紹介などを通じて、感覚的な不安を解消していく広報・啓発活動も効果的だと考えられる。(プラチナ構想ネットワーク 滝澤悠太)