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使用済みプラスチックの再資源化で循環経済を加速 ENEOSと三菱ケミカルがケミカルリサイクル設備を竣工085

Updated by 『森林循環経済』編集部 on July 04, 2025, 3:12 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

ENEOSおよび三菱ケミカルが茨城県神栖市の三菱ケミカル茨城事業所で建設を進めていたケミカルリサイクル設備が完成し、7月2日に竣工式が開催された。プラスチック油化の実現に向けた新設備によって廃プラスチックからリサイクル生成油を製造する仕組みを整え、プラスチックのサーキュラーエコノミーを加速させる。

プラスチック油化技術で石油製品などの新たな原料に

新設備では、外部から調達した使用済みプラスチックを英国のMura Technology社の超臨界水熱分解技術によって化学的に液化させ、油化処理を行う。これは高温・高圧の超臨界状態となった水を溶媒としてプラスチックを分解する技術。プラスチックが溶解した水の働きによって、生成油の再結合が抑制され、リサイクル生成油が製造される。

製造された油は、ENEOSおよび三菱ケミカルが持つ既存の石油精製装置およびナフサクラッカーの原料として活用され、石油製品や各種化学品・プラスチックへと再製品化される。これにより、廃棄物を新たな価値ある資源へと転換するケミカルリサイクルが実現する。

(プラスチック油化の前処理工程)
(超臨界水熱分解による油化工程)

このような技術的取り組みは、バイオマス資源を含む素材循環のあり方にも示唆を与える。たとえば、近年注目されるセルロース系プラスチックなどの木質由来素材においても、使用後の再資源化を視野に入れた製品設計や処理技術の進展が求められている。

プラスチック油化に代表される化学的リサイクル技術の発展は、石油由来素材に限らず、今後さまざまな廃棄物の循環的活用を考えるうえで参考になるものだ。持続可能な資源利用に向け、素材の特性に応じた再利用技術の検討が、森林循環経済の分野でも重要になっていくだろう。

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