Updated by 『森林循環経済』編集部 on July 19, 2025, 6:06 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
三菱ケミカルグループはコーポレートベンチャーキャピタル子会社のDiamond Edge Ventures, Inc.を通じて、使用済みプラスチックやバイオマスの油化技術を有する豪州Licella Holdings Ltdに出資したと発表した。これまでリサイクルが困難とされていた廃棄物を再資源化する事業を拡大し、新たな資源循環の確立を後押しする。
Cat-HTR(TM)プロセスは、高温・高圧状態の超臨界水の中で使用済みプラスチックやバイオマスを油化し、化学品原料やSAFなどを製造する技術。プラスチックだけでなく木質残渣なども油化できる。三菱ケミカルがENEOSと共同で7月に新設したケミカルリサイクル設備に採用した英国Mura Technology社の「Hydro-PRT(TM)」技術もCat-HTRを基に構築したという。
同グループは3月に「国内森林資源を活用したSAF等の製造事業の商用化へ向けた検討」を発表しており、この中でLicella社の技術を用いてバイオマスからバイオナフサ、SAF、バイオディーゼルなどを製造することを想定していた。経営ビジョンでも「グリーン・ケミカルの安定供給基盤」を注力事業領域のひとつに位置づけ、原料の多様化に向けた検討を進めている。
同グループとLicella社の連携は、石油由来に依存しない原料の選択肢を増やし、新たな資源循環の仕組みを社会にもたらす可能性がある。これまで再利用が難しかった廃棄物から有用な資源を生み出す技術の確立は、未だ十分に活用されていない日本の森林資源にも新たな可能性を開くものといえる。