Updated by 『森林循環経済』編集部 on August 06, 2025, 5:51 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
エネルギーソリューションを手がけるシナネンは、植林・育林を専門とする青葉組と提携し、同社が管理する栃木県足利市の土地(9500平方メートル)を「シナネンあかりの森」として森づくりの支援をこのほど開始した。植樹や郷土樹種の育苗などを通じて豊かな自然環境を構築し、自然資本の再生を目指す。
シナネンは、豊かな自然環境を残すとともに脱炭素社会の実現に貢献する「シナネンあかりの森プロジェクト」を推進している。これまでに環境に優しいエネルギーの普及によるCO2排出削減のほか、さまざまな団体と連携して自然や生態系を保護する活動を実施してきた。
青葉組は「自然資本の再生」を掲げ、植林・育林事業に特化することで森林の健全な循環の構築に取り組んでいる。栃木県、新潟県、茨城県で企業などと連携し、森づくりを行う「自然資本共創プログラムaoba」を展開しており、今回の提携は、この青葉組の理念にシナネンが共鳴したことで実現した。
両社は今後、現地調査や森林設計を進め、植樹活動の準備に入る。どんぐりなどを活用して郷土樹種の育苗にも着手するという。シナネンは青葉組の専門的な知見を活かして「シナネンあかりの森」の成長過程をモニタリングし、将来的には足利市でのモデルケースを他の地域にも展開していく考えだ。
今回の提携は、企業が環境問題にどう向き合うかという点で、重要な示唆を与える。これまでの企業の環境活動は、自社のCO2排出量をいかに削減するかが中心だった。しかし、気候変動問題の深刻化や生物多様性の損失が世界的な課題となる中、企業にはより積極的かつ多面的な貢献が求められている。シナネンと青葉組の挑戦は、日本の自然資本を再生し、国内林業が抱える課題の解決につながる一手として注目される。