Updated by 『森林循環経済』編集部 on August 10, 2025, 7:16 PM JST
Forestcircularity-editor
プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
国内外へ独自のアパレルを展開するphonemeは、未利用の間伐材を活用した「木糸(もくいと)」を用いたTシャツのクラウドファンディングをこのほど開始した。業界を横断する挑戦により、活用が進まない大量の間伐材問題や、アパレル業界が抱える大量生産・大量廃棄の問題に一石を投じる。
同社が挑戦するのは、未利用のまま放置されている全国の間伐材を原料とした木糸によるTシャツ作りだ。木材はすべて国産の間伐材を使用し、輸入材に押されがちな国産材の利用促進につなげる。また、Tシャツは受注生産のため、大量生産に伴う大量廃棄の問題も回避できる。
木糸による生地の製造を可能にしたのは、主に和紙を原料とした布製品を手がける大阪府の「和紙の布」が持つ高度な織布技術だ。木材から繊維を抽出し、独自の加工技術で開発された木糸を用いて作られた生地は通気性や吸水性に優れており、木材由来の香りやサマーニットのような着心地の良さも兼ね備えているという。
未利用資源である間伐材に新たな価値を与える取り組みは、林業や地域経済の活性化につながる可能性を秘めている。同時にアパレル業界の大量廃棄問題にも向き合い、環境負荷の軽減にも貢献する。木糸Tシャツは、これからの持続可能な社会に向けた新たな消費の選択肢を示す好例といえる。