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トドマツが香るクラフトジン誕生 北海道東川町、公設民営の蒸留所で森林資源活用の新モデル125

Updated by 『森林循環経済』編集部 on August 13, 2025, 9:15 PM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

北海道東川町で公設民営型の「丹丘(たんきゅう)蒸留所」が8月27日に開業した。地域の農産物や森林資源を生かした蒸留酒を製造・販売する。第1弾として、間伐材として調達したトドマツの葉と地元産の東川米を使ったクラフトジン「雪の窓」を発売し、地域の新たな価値創造を目指す。

間伐材に新たな価値、官民連携でブランド創出

「雪の窓」は、原材料に地域の風土を色濃く反映している。「平成の名水百選」にも選出された湧水や東川米の米麹を使用し、東川町森林組合の協力で調達した間伐材のトドマツの葉を加え、清涼感あふれる香りを実現したという。

蒸留所は消費者との接点も重視する。敷地内には常設のショップを設け、製品の試飲や購入ができるようにする。28日からは蒸留所の製造工程を見学できるツアーを毎日開催し、製品への理解を深めてもらう考えだ。販路は実店舗だけでなく、町のふるさと納税サイトでも12日から返礼品としての取り扱いを開始している。

蒸留所の施設は東川町が整備し、運営を丹丘蒸留所が担う公設民営による事業スキームとなる。地域内での素材調達から製造、提供までの流れを町内で可視化することで、関係者間の連携が取りやすくなる。自治体が初期投資のリスクを軽減することで、民間事業者は専門性や創造性を活かしたスピーディーな事業展開に集中できる。

今回の取り組みは、これまで活用が限られていた森林の間伐材に蒸留酒という新たな付加価値を与える。風土に根差した製品を通じて、消費者が地域の森林資源の豊かさを再発見する機会にもつながり、地域経済の活性化に貢献することが期待される。

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