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木質バイオマス発電でカーボンニュートラルな製塩へ 日本海水、讃岐工場で2028年度に運転開始134

Updated by 『森林循環経済』編集部 on August 27, 2025, 3:13 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

日本海水讃岐工場(香川県坂出市)で、既存の石炭火力発電所を木質バイオマス発電所へ転換する計画が、このたび国の「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」に採択された。「讃岐バイオマス発電所」は2026年度に着工し、2028年度の運転開始を予定している。

間伐材など地域の森林資源を活かす

同発電所では、建築廃材や樹皮、適切な森林管理のために伐採される間伐材など、国内の木質バイオマスを主燃料とする。この転換により、CO2排出量は坂出市全体の約17%相当が削減される見込みだ。日本海水全体では、2030年度CO2排出量の2020年度比67%削減を見込んでいるという。

塩事業や環境事業を手がける同社は2015年以降、兵庫県の赤穂市や福岡県の苅田町ですでに木質バイオマス発電所を稼働させており、近隣の木材利用を通じて地域の林業・木材産業振興にも貢献してきた。こうした取り組みを加速させることで、2035年度には国内の製塩メーカーとして初となるカーボンニュートラルを実現し、「CO2を排出しない製塩」を可能にする見通しだ。

国産塩の安定供給とカーボンニュートラルを両立させるこの取り組みは、地域の森林資源活用を通じて、林業・木材産業の振興、自然環境の保護、CO2の大幅削減を同時に達成する持続可能な事業モデルであり、今後のエネルギー多消費型産業の新たな指針となるだろう。

■讃岐バイオマス発電所 設備概要
(1)設置場所:香川県坂出市大屋冨町1793番地の3 (株)日本海水 讃岐工場内
(2)発電方式:木質バイオマス発電
(3)発電出力:最大9,400kW
(4)燃焼方式:階段式ストーカ
(5)燃料使用量:14万トン/年(燃料:建築廃材、樹皮、間伐材、海外材他)
(6)投資額:約140億円(うち補助金40億円)

■参考リンク
日本海水・讃岐工場、木質バイオマス発電所を2028年度運転開始 ~塩の安定供給体制の維持とともに、国内製塩メーカーとして初のカーボンニュートラル実現へ~エア・ウォーター株式会社

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