Updated by 『森林循環経済』編集部 on August 26, 2025, 10:30 AM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
全国知事会の国産木材活用プロジェクトチームリーダーを務める小池百合子・東京都知事は8月25日、小泉進次郎農林水産大臣とあべ俊子文部科学大臣を訪問し、「国産木材の需要拡大に向けた提言」を提出した。提言は、建築物の木造化推進から輸出拡大、技術開発や人材育成まで多岐にわたり、森林資源の循環利用と地域活性化の両立を狙う。今回の要請活動は、森林産業を成長産業として位置づけるとともに、国産木材利用を通じて地域経済の活性化や脱炭素社会の実現を図ろうとするものであり、政策面での強力な後押しを求める姿勢を鮮明にしている。
提言では、建築分野における木造化・木質化を一層推進することが中心的に掲げられた。改正建築基準法を踏まえたJAS構造材やCLTの普及拡大をはじめ、公共施設や教育施設での木材利用の強化、さらには新制度「5%フォー・ウッド(仮称)」の創設など、需要を喚起するための具体的施策が盛り込まれている。こうした取り組みは、木材産業の競争力を高めるだけでなく、炭素の長期的な固定や省エネルギー建築の推進を通じて、カーボンニュートラル政策とも密接に結びつく。
また、木材輸出の拡大や国際市場への展開も視野に入れている。輸出国の建築基準に対応したマニュアルの整備や、米国との相互関税の影響を注視しつつ事業者を支援する仕組みづくりを求めている。こうした国際的な取り組みは、国内の過剰な森林資源の循環利用を進める上でも不可欠とされる。
提言はさらに、人材育成や技術開発にも重点を置いている。非住宅木造建築を担う建築士や自治体職員の養成を進め、木材利用に関するノウハウを全国に広める体制を整えることが提起された。加えて、大径材の有効活用や新素材としての木材研究、耐火や耐久性を高める技術開発など、次世代に向けた研究開発への支援が欠かせないと強調されている。
全国知事会は、国産木材の需要拡大が森林資源の循環利用を通じて環境保全や防災に寄与し、花粉症対策や健康増進にもつながると位置づけている。とりわけスギ人工林の伐採・植替えを進めることは、花粉発生源対策と国産材供給力の強化を両立させる重要な手立てとされ、強力な支援策を国に求めた。