Updated by 『森林循環経済』編集部 on September 05, 2025, 12:54 AM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
標高1300メートルの長野県・蓼科に自生する植物を活用した体験施設「森の素材研究室 TENOHA TATESHINA Lab.」が東急リゾートタウン内に7月にオープンした。プロデュースしたのは、地域の森林資源の利活用に取り組むヤソ(yaso)。蓼科を訪れる観光客が森の木や草花に触れることで、森林保全と資源循環について学べる「新しい観光の在り方」を提示している。
同施設は研究所、ギャラリー、アトリエの3つの機能を併せ持つ。研究室では、リゾートタウン内に自生する植物を「標本」「香り」「色」の3つの観点からデータ化し、展示する。植物の学術的な情報に加え、水蒸気蒸留によって抽出した精油の香り成分、草木染めで得られる色の詳細などをアーカイブする。これらのデータは今後、タウン内他拠点での商品開発や備品開発などに活用するという。
施設では、宿泊客や日帰り利用者を対象にしたワークショップも定期的に開催する。参加者は草木を使った染め物や植物標本づくりなどを通じ、森林資源の多様性や循環について体験的に学ぶことができる。
施設内には、草木染めの技術を取り入れた衣服づくりを行うワークウェアブランド「MARU TO」のアトリエも併設され、ものづくりの現場を知ることができる。草木染めのワークショップや商品の展示販売も予定されている。
従来のリゾート開発は、ともすれば自然を一方的に消費する側面があった。本施設はそうした関係性を問い直し、観光客が単なる消費者ではなく、地域の自然資本に触れてその価値を学ぶ新しいサステナブルな観光の在り方を示している。この取り組みは環境保全への貢献はもちろん、地域への関心を深める「関係人口」の創出や、持続可能な地域経済の活性化にもつながる。同施設の存在はリゾートの未来を示すモデルケースとして注目される。