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森林と農地を結ぶ脱炭素市場の新潮流 住友林業とGreen Carbonがネイチャーベースクレジットで連携154

Updated by 『森林循環経済』編集部 on October 01, 2025, 2:44 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

森林由来のJ-クレジット創出を手掛ける住友林業と、農業由来のクレジットで国内最大規模のGreen Carbonが、自然由来のカーボンクレジット創出・販売でこのほど連携を開始した。2026年度から本格稼働する排出量取引制度(GX-ETS)をにらみ、高まる企業の脱炭素需要に対応する。森林と農業という異なる分野の事業者が手を組むことで、ネイチャーベースJ-クレジットの安定供給を目指す。

プラットフォーム「森かち」が拓く可能性

加速する日本の脱炭素化に伴い、J-クレジットの需要も高まっている。今回の連携は、こうした市場の動きに対応するものだ。住友林業は、約600億円規模の森林ファンドを運用するほか、社有林の経営で培った知見を活かし、森林価値創造プラットフォーム「森かち」を運営する。Green Carbonは水田の中干し期間延長やバイオ炭の活用などを通じた農業分野のJ-クレジット創出の実績を持つ。

両社は連携によって「森かち」を活用した森林由来クレジットの創出・販売を強化する。将来的には農業由来のクレジットも「森かち」で取り扱うことを検討していく。これまで森林と農業のクレジットは別々に扱われることが多かったが、今後は「森林由来」と「農業由来」を統合した「ネイチャーベースJ-クレジット」という考え方を推進し、企業の脱炭素化・カーボンニュートラル化に貢献していく方針だ。

今回の連携は、日本の自然資本に新たな経済価値を付与する可能性を秘めている。環境保全活動が企業の脱炭素化に直接的に貢献する仕組みは、自然環境を守り活かすことへのインセンティブを生み出し、クレジットのほか森林・木材や地域経済の循環につながる。自然資本を経済活動の中で活用するモデルとして今後の展開が期待される。

■参考リンク
住友林業株式会社が運営する森林価値創造プラットフォームを活用し「自然資本由来」のネイチャーベースカーボンクレジットの取引を推進 – green carbon

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