Updated by 『森林循環経済』編集部 on October 16, 2025, 8:52 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
温暖湿潤な気候の近畿から中国地方にかけては、杉やヒノキなど針葉樹の生産が盛んで、豊かな森林資源を有しています。一方で、林業の担い手不足や高齢化といった課題も避けられません。そんな中、現場に新しい風を吹き込んでいるのが「林業女子」です。力仕事の多い林業に挑戦しながら、自然と真正面から向き合い、地域と森をつなぐ存在として活躍する女性たちの姿は、多くの人に勇気を届けています。Instagramでは、日常の作業風景や学びの記録、森と暮らしにまつわるエピソードが数多く発信され、林業をより身近に感じられるのが魅力です。本記事では近畿・中国エリア(※)で活躍する林業女子のアカウントを5つ紹介します。
映画「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」に感銘を受け、林業の世界に飛び込んだという永見優子さん。2児の母としての日常を送りながら、Instagramでは現場での作業風景に加え、お子さんとの時間や地域とのつながりも発信しています。
娘さんが現場でしっかりとヘルメットをかぶって自然と触れ合う微笑ましい姿や、間伐作業で森に光が差し込む瞬間、木工ワークショップの様子など、投稿からは森での仕事の楽しさや緊張感、やりがいが生き生きと伝わってきます。育児と仕事を両立する様子は、「ママでも林業の現場で活躍できる」ということを示しており、多くの女性に希望を与えているのは間違いありません。森で出会った生き物の写真も数多く投稿されており、ほっこりできる風景が好きな方も楽しめるアカウントです。
京都から島根県へと移住した林業女子・千栄さんが運営する「おおかみは彼女と暮らす」のアカウントでは、築80年の古民家でハイブリッドウルフと暮らす、唯一無二のライフスタイルが発信されています。
「林業という職業をもっと多くの人に知ってほしい」という思いから制作された現場での作業風景を切り取った動画は、まるで映画のワンシーンのような美しさ。そのほかの投稿も、写真集のように美しく神秘的で、自然や動物と触れ合いたいという気持ちを呼び起こします。
さらに「森のおしごと」というハイライトでは、林業の仕事内容や魅力がわかりやすく紹介されており、これから林業を目指す人に参考になる情報が満載です。林業は決して特別な世界ではなく、日々の暮らしの延長にある営みだということを感じさせてくれるアカウントです。
伊藤ゆり子さんは、林業歴25年以上の大ベテランです。Instagramでは、森での間伐作業や苗木の手入れなど、林業現場での活動がわかりやすく紹介されています。また「みんながんばってくれてる。あたしもがんばらにゃ!」「達成感ハンパない。だから林業やめられない」「山が好きだ!」などポジティブな言葉が多くつづられ、見ているだけで元気をもらえます。
苦戦している様子も包み隠さず発信されており、林業の難しさや奥深さをリアルに感じられるのも特徴です。さらに、直径が人の背丈の半分ほどあるもみの木の丸太の写真や、ウインチ作業の実況中継は迫力満点で、自然の雄大さやスケール感を存分に味わえます。
山仕事サークル杉良太郎(すぎよしたろう)は、京都市北区の鴨川源流、雲ヶ畑地域を拠点に活動する京都大学生を主体とした林業ボランティア団体です。Instagramでは、間伐や枝打ち、炭焼き、竹細工などの作業を通じて、地域の山づくりや文化活動に取り組んでいる様子が発信されています。また、タケノコ掘りや森の中でのイベントなども紹介されており、自然の中でいきいきと活動する姿が魅力的です。
さらに、女性メンバーも作業着に身を包み、地域の方と急斜面での間伐や枝打ちに挑む姿からは、性別や立場の枠を超えた協働の楽しさや学びが伝わります。入会は年中募集されており、「学生のうちに林業の世界に触れてみたい」「興味はあるけど経験がない」という方に、ぜひ一度チェックしてもらいたいアカウントです。
和歌山を拠点に「ソマノベース」という林業ベンチャーを運営しながら、森の営みや苗木の成長、山づくりのプロセスを日々発信している奥川さん。彼女のアカウントでは、下刈りや植林といった力仕事の現場はもちろん、苗木を育てる繊細な手作業や、季節とともに移りゆく山の姿など、見ているだけで土の匂いや木漏れ日のぬくもりが感じられる写真が並びます。
また、奥川さんが関わる「MODRINAE(戻り苗)」プロジェクトでは、苗木を育て、やがて山へ戻すという循環をテーマに、持続可能な林業のあり方を発信。奥川さんの投稿は、林業に興味を持ちながらも実際に関わる機会が少ない女性たちに「自分にもできるかもしれない」と感じさせるきっかけとなるでしょう。
※注
この記事の「近畿・中国エリア」とは、林野庁のブロック分けに従い、石川県・福井県・滋賀県・三重県・奈良県・和歌山県・京都府・大阪府・兵庫県・鳥取県・岡山県・島根県・広島県・山口県の14県を指します。
参照:森林管理局リンク:林野庁