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森と川で遊ぶ「シャワークライミング」体験で森林再生へ 広島・湯来で循環型のサステナブル観光に挑む159

Updated by 『森林循環経済』編集部 on October 01, 2025, 11:04 AM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

広島市佐伯区湯来町で地域の資源を活かした観光振興と地域振興を展開するNPO法人湯来観光地域づくり公社は、沢を登るアクティビティ「シャワークライミング」の参加費の一部を森林保全や川の清掃活動に充当する事業を2025年夏から本格展開した。「観光と保全を両立する新しい仕組み」として、体験プログラムで得た収益を自然資本へ還元するサステナブル体験型観光に挑んでいる。

新たな地域経済循環と地方創生のモデルを目指す

「シャワークライミング×森の再生プロジェクト」では、参加者は豊かな自然の中でアクティビティを体験し、参加費の一部が森林整備や植林、河川の清掃活動に還元される。希望者は体験後に、地域住民と共に植林や間伐作業を行う「森づくりワークショップ」への参加も可能だ。一連の取り組みは、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」や目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成にも直結する。

今回のプロジェクトの背景には、町の主要な観光資源である清流そのものの価値が失われかねないという危機感がある。かつて林業で栄えた湯来町だが、近年は担い手不足が深刻化している。手入れが行き届かなくなった森林は荒廃し、接続する河川の水質や水量の悪化が進んでいた。

同公社は課題解決に向け、「遊ぶことが森を守ることにつながる」仕組みを導入。持続可能な観光を通じた地域経済の循環に加え、移住・定住促進につながる地方創生の新たな形も目指す。この森林と経済循環を結びつける試みは、自然資本を核とした地方創生のモデルケースとして、その動向が注目される。

■参考リンク
奥湯来・シャワークライミング×森の再生プロジェクト

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