• 執筆者一覧Contributors
  • ニューズレター登録Newsletter

吉野の杉や檜を使った「木の糸」とアップサイクルコットンでサステナブルソックス開発 奈良の靴下メーカーが地域循環に挑む161

Updated by 『森林循環経済』編集部 on October 01, 2025, 6:07 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

奈良県の靴下メーカー創喜は、奈良・吉野産の杉や檜から作られる「木の糸」と、製造工程で出る端材を再生した「アップサイクルコットン」を組み合わせた靴下をこのほど製品化した。地域の自然資本とこれまで未利用だった資源を組み合わせ、新たな価値を創出する試みだ。

奈良の産業をつなぎ、新たな価値創造へ

奈良県は日本最大の靴下産地であると同時に、吉野林業に代表される豊かな森林資源を持つ地域でもある。「木の糸」は、吉野産の杉や檜が原料となっている。これに、靴下の製造工程で発生する端材や編みくずを再資源化した「アップサイクルコットン」を配合。これまで廃棄されていた資源を価値に変えることで、環境負荷の低減と資源循環を両立させている。

製品の特徴として「履き込むほどに、さらりとした肌触りから、やわらかくやさしい風合いへと変化」する点も、素材の変化・利用価値をユーザーが実感できる要素として注目される。製品を日常に溶け込むカジュアルなデザインは、「サステナブル」という概念をより多くの人々に届けるためのこだわりがうかがえる。履くことで環境や地域とのつながりを感じられる製品となっている。

売上の一部は吉野桜の植樹に活用

この取り組みは、地場産業同士をつなぐだけに留まらない。製品の売上の一部は、吉野桜の植樹活動に充てられる計画だ。吉野の山林を象徴する桜と、建材として地域の暮らしを支えてきた杉・檜。その両方を保全する活動を支援することで、事業の利益を地域の自然資本へと還元する。

地域の異業種が連携し、眠っていた資源に新たな光を当てることで持続可能な経済循環を生み出す。地場産業と環境保全を両立するこの取り組みは、新たな地方創生のモデルとなる可能性を秘めている。

■参考リンク
「YOSHINO TREE -ヨシノツリー-アップサイクルミックス」奈良の吉野杉・檜から生まれた新しいくつ下【9/30販売】|SOCKS FACTORY SOUKI

Tags
森林循環経済 Newsletter
ニューズレター(メルマガ)「森林循環経済」の購読はこちらから(無料)
JA