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都市で森を再生する「木庭 MOKUTEI」プロジェクトを東京建物八重洲ビルで開始 「倒木更新」を再現しウェルビーイングと生物多様性の循環を創出172

Updated by 『森林循環経済』編集部 on October 21, 2025, 2:56 PM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

東京建物はリバネスと協業し、都市に暮らす人々が都市に居ながらにして自然の森を再生させるプロジェクト「木庭(もくてい) MOKUTEI」を東京建物八重洲ビルでこのほど開始した。都市の人々が実際に参加して行う自然の再生と、それによるウェルビーイングの向上を目指す。

リジェネラティブ・シティ構想の具体化

本プロジェクトは「都市のための森から、森のための都市へ」をコンセプトに掲げる。規格外の廃材を利用したスペースで、都市に集まる人々の手により苗木を育成するというユニークな取り組み。自然の営みの中にあった「倒木更新」、すなわち寿命や災害、伐採などによって倒れた古木を礎として新たな木が育っていく現象を都市空間で再現する。

プロジェクトで使用されるのは、雷による割れや2本の木の癒着など、個性は持ちながらも一般的な木材としては価値が付きにくい木材だ。苗木や植栽は、木材の原産地である東京都西多摩郡檜原村の生態系を再現したという。ビルのワーカーや来館者など通行人が苗木に水を与え、1~2年後には成長した苗木を檜原村の自然環境に植樹する計画となっている。

「木庭 MOKUTEI」は、地球や社会、そして人々のウェルビーイングを同時に追求し、マルチステークホルダーに対して多元的な価値を生み出し続ける「リジェネレーション(Regeneration)」という概念を反映させた「リジェネラティブ・シティ実証プロジェクト」の一環だ。

この取り組みの特徴は、都市生活者に「都市に居ながら森の再生や生物多様性の保全に貢献する」という新しい自然との関わり方を提供する点にある。単なる木材の利用や消費にとどまらず、人々が森林再生の一種の担い手となる体験は、参加者のウェルビーイング向上に寄与するほか、日本の森林や環境問題への関心を喚起し、より身近にする効果が期待される。東京建物は今後、多様な場所で本プロジェクト展開を目指す方針であり、持続可能を超えた豊かな未来を創る都市のあり方を提示する可能性を秘めている。

■参考リンク
人々が都市に居ながら自然の森を再生させる 「木庭 MOKUTEI」プロジェクト開始 | 東京建物株式会社
リバネスと東京建物、リジェネラティブ・シティの実現に向けた八重洲・日本橋・京橋エリアでの実証を開始

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