Updated by 『森林循環経済』編集部 on October 30, 2025, 3:35 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
栃木県さくら市において、東京電機大学、共立女子大学、北海学園大学が連携し、栃木県産の木材を活用したアート作品を制作する「Wood Structure Artの森」プロジェクトが進行中だ。地球温暖化防止と林業の活性化を目指して2024年に開始した5か年計画であり、2028年の「アートの森」完成を目指す。
本プロジェクトは、学生が主体となり、建築構造の知識と地域資源の活用を融合させた試みだ。本年度は、3大学から約20名の建築学科の学生が参加した。4月の初回ミーティングを皮切りに、オンラインや現地での打合せを重ね、現地調査やデザインワークショップを実施した。栃木県産の木材を用いて、遊具や装飾品としても楽しめるオブジェを制作し、設置や仕上げ作業を現地泊まり込みで行ったという。9月6日に開催されたお披露目会には、協賛企業21社の関係者を含む約150名が来場し、学生の制作物への関心を集めた。

参画校の一つである東京電機大学 未来科学部 建築学科の笹谷研究室は、建築構造を専門とする。同研究室は、これまで学んだ構造設計や木の特性に関する知見を最大限に生かし、子どもたちが登ったり駆け回ったり、大人が森林浴や木漏れ日を体感できるオブジェ「こもりん」を制作・設置した。制作においては、学生たちが作品のデザインに加え、構造解析や実験を通じた安全検討、材料調達、コスト・工程管理、製作作業に至るまで一貫して担当したという。



本プロジェクトはアートという切り口から学生たちを森林へつなげた。この活動を通じて、学生は座学で培った専門知識を実社会のプロジェクトに応用すると共に、地域住民や協賛企業、林業関係者と交流し、森と人との関わりや素材としての木の魅力を体感的に学ぶ機会を得た。環境問題への関心を高め、次世代の林業への興味を抱かせる上で、自らの手を動かす経験の価値は大きい。
■参考リンク
ウッドストラクチャーアートの森 ホームページ