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国内最大級の木質バイオマス専焼「仙台港バイオマスパワー発電所」が商業運転を開始 異業種の4社連携で地域の再エネ電力供給とカーボンニュートラル推進に貢献へ200

Updated by 『森林循環経済』編集部 on November 29, 2025, 11:24 PM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

住友商事、東京ガス、北陸電力、住友商事東北の4社が出資する仙台港バイオマスパワー合同会社は、宮城県仙台市で建設を進めてきた「仙台港バイオマスパワー発電所」の商業運転を11月から開始した。持続可能性に配慮し、森林認証を取得した木質バイオマスを燃料に採用。環境負荷の低い再生可能エネルギーを東北地方に長期的かつ安定的に供給することで、日本のカーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献するものだ。

間伐材や製材くず・低級材を活用

本発電所は、発電出力112メガワット、年間発電量約80万メガワットアワー(一般家庭約26万世帯分)を見込む。木質バイオマス専焼発電所としては、国内最大級の規模となる。燃料には森林認証を取得済みの木質バイオマスのみを使用する。具体的には、森林の成長過程で発生する間伐材や製材くず・低級材が原料となる。燃料調達を担う住友商事は森林資源の適正な利用とトレーサビリティの確保に努めるという。

各出資会社は、本事業を通じてそれぞれのカーボンニュートラルに向けた目標達成にコミットしている。住友商事は2050年までのグループ全体でのカーボンニュートラル達成を、東京ガスグループは「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を掲げている。また、北陸電力は「2030年代早期に再生可能エネルギー開発量+100万キロワット以上」の目標達成に向け、これまで培ってきた木質バイオマス混焼発電の知見を本事業に活用している。地域総合商社の住友商事東北も、地域に根ざした再生可能エネルギーの導入と事業運営を通じて、地域の持続的な発展とカーボンニュートラル社会の実現に尽力していく方針だ。

国内最大級の規模を持つこの木質バイオマス発電所は、カーボンニュートラル実現に向けた日本のエネルギーミックスにおける重要な一歩となる。木質バイオマスを持続的に利用することは、国内の森林資源をエネルギーとして循環させ、健全な森林の維持管理・育成に再び接続するサイクルの確立に直結する。課題先進国である日本において、本事業はカーボンニュートラル社会の実現や資源自給、適切で持続可能な森林経営など、多様な使命を担う取り組みと言える。

■発電所概要
発電所名:仙台港バイオマスパワー発電所
事業者:仙台港バイオマスパワー合同会社 ※2021年1月設立
出資会社:住友商事 45%、東京ガス(100%出資子会社のプロミネットパワー株式会社を通じて出資) 25%、北陸電力 25%、住友商事東北 5%
所在地:宮城県仙台市宮城野区港四丁目10番16号
発電出力:112メガワット
年間発電量:約80万メガワットアワー

■参考リンク
商業運転の開始について(仙台港バイオマスパワー合同会社)

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