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岡山で進む「森林循環経済」の実装戦略 ― 県産材・CLT・大学が連携する「岡山モデル」【12/22シンポジウム】189

Updated by 『森林循環経済』編集部 on December 01, 2025, 3:45 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

国産材需要の低迷や人口減少など、森林産業を取り巻く環境は厳しさを増している。一方で、脱炭素化や経済安全保障の観点から、森林資源を地域経済に循環させる新たなモデルが全国で求められている。ヒノキ生産量全国1位、CLT産業の集積、そして岡山大学の研究基盤を備える岡山県は、森林循環経済を実装するうえで有望な地域の一つといえる。こうした背景のもと、岡山大学とプラチナ構想ネットワークは、2025年12月22日に「岡山発!森林循環経済の実現に向けて」シンポジウムを開催する。県産材の高度利用、サプライチェーンの情報連携、中高層木造化を支える技術開発など、岡山だからこそできるモデルを議論する。実践的テーマが揃い、地域の取り組みを立体的に捉えられる機会となる。

地域資源を活かす実装戦略とは

今回のシンポジウムの特徴は、岡山県が持つ森林資源・加工技術・研究基盤を軸に、産官学の主要プレイヤーが集まり、地域発の循環モデルを具体的に議論する点にある。

特別講演では、プラチナ構想ネットワーク会長・「森林循環経済」名誉編集長の小宮山宏氏が、森林循環経済の観点から、地域資源を活かした「プラチナ社会」実現へのビジョンを提示する。続く基調講演では、岡山大学理事・上席副学長の阿部匡伸氏が登壇し、中高層木造建築の普及に向けた技術開発や、脱炭素化を支える研究戦略を紹介する。岡山大学はグリーンイノベーションセンター(GIC)を中心に、木材利用の高度化や人材育成を進め、県内産業との連携強化を図ってきた。岡山という地域に根ざした研究は、森林資源の新たな価値創出の核となっている。

パネルディスカッションでは、森林・木材・建築・地域経済の現場を支える多様な登壇者が、“岡山モデル”の現在地と今後の展望を議論する。

行政からは真庭市長の太田昇氏、岡山県農林水産部長の清水浩史氏が参加し、地域政策と産業の連携を示す。産業界からは、CLTと構造用集成材を製造する国内トップクラスの木質構造材メーカーの銘建工業代表取締役社長の中島浩一郎氏、県産材を活かした街づくりを進めるライフデザイン・カバヤ代表取締役社長の窪田健太郎氏、林業から製材・プレカット・住宅までを一貫して手がける総合木材メーカー院庄林業 常務取締役の田原義彦氏が登壇する。さらにCキューブ・コンサルティング マネージャー 重久孝介氏が、地域産業の事業化という視点を加える。モデレーターは、プラチナ構想ネットワーク顧問の鎌形太郎氏が務め、川上から川下まで一貫した議論を導く。

岡山は森林循環経済の潜在力と課題が交差

岡山県は、森林資源の豊富さと加工産業の集積、そして先導的な自治体の取り組みが揃う地域である。ヒノキ生産量全国1位、CLT生産企業の立地、独自の森林政策、木材による建築の積極的活用など、森林循環経済の実装に必要な条件が整っている。

しかし一方で、木材需要の減少、担い手不足、人口減少など、全国共通の課題を多く抱えており、「潜在力 × 課題」という構造はまさに日本の縮図ともいえる。この環境下で岡山大学が設立したGICは、技術開発、人材育成、国際連携など、多面的な研究を積み重ねてきた。

木造建築の中高層化に向けた基盤研究、県産材の計画的活用を支える長期的な地域計画、川上と川下をつなぐ需給情報のデジタル化など、岡山では既に多くの企画が動き始めている。2025年9月には真庭市に岡山大サテライトキャンパスが設置され、実スケールの研究設備導入も視野に入るなど、“岡山モデル”は地域産業と大学が一体となって形成されつつある。

今回のシンポジウムは、木造建築の技術開発や需給情報の整理など、岡山で動き始めた取組を具体的に共有し、地域で循環を生み出すための実践知を得られる機会となる。

■開催概要
名称:岡山発!森林循環経済の実現に向けて
日時:2025年12月22日(月)14:30〜17:00
実施形態:会場参加およびオンライン視聴のハイブリッド開催
会場:岡山大学創立五十周年記念館
定員:会場:350名(先着順)、オンライン:定員なし
参加費:無料(事前予約制)
主催:岡山大学
共催:一般社団法人プラチナ構想ネットワーク
申込方法:フォームまたは電子メールにてお申し込みください。
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