Updated by 『森林循環経済』編集部 on December 05, 2025, 10:31 AM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
霧島酒造とスターバックス コーヒー ジャパンは、2026年1月にオープン予定のコラボレーション施設「KIRISHIMA GREENSHIP icoia(キリシマ グリーンシップ イコイア)」における環境アクションの一環として、宮崎県都城市および一般社団法人more treesと連携し、「みやこんじょ資源循環森林プロジェクト(通称ODEN)」を開始する。産官学が一体となり、地域の植生に配慮した「多様性のある森づくり」を目指す。
本プロジェクトは、両社の事業活動から排出される焼酎粕やコーヒーかすを堆肥化し、その土壌で苗木を育て、都城の森へ還すという資源循環の試みだ。霧島酒造とスターバックスはこれまで、南九州大学と協力して焼酎粕とコーヒーかすを混合した堆肥づくりの実験を重ねてきた。この堆肥を活用し、都城市内で採取したイチイガシなどの種子を「KIRISHIMA GREENSHIP icoia」の敷地内で育苗し、将来的には地域の山林へ植樹を行う計画だ。

本プロジェクトの通称は「ODEN(おでん)」と名付けられた。「Organic Diversion Enriches Nature(有機的な転換が自然を豊かにする)」の頭文字をとったものであり、地元名物「都城おでん」のように地域に親しまれる活動を目指すという意志が込められている。
プロジェクトの始動に伴い、市民が森との関わりを体感できる場づくりも進められている。2025年12月20日には、都城市の「道の駅」都城NiQLLにて「森の集い場 ワークショップ」が開催される予定だ。木材を活用したスツール作りやどんぐりの発芽体験などを通じて、参加者が楽しみながら森林資源の循環を学べる内容となっている。
企業が主導する環境活動において、人々が「自分ごとの課題」として森林への意識を醸成するプロセスは、これからの地域創生と森林保全において重要だ。資源の有効活用を森林再生のプロセスに組み込み、地域住民や顧客など多くの人々に開かれた本プロジェクトは、地域資源の新たな循環モデルとなる可能性を秘めている。