Updated by 『森林循環経済』編集部 on December 19, 2025, 5:46 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
積水ハウスは、東京大学の「KUMA LAB」等と産学協働で、大阪・関西万博の日本政府館(日本館)に使用されたCLT(直交集成板)を再利用するプロジェクト「旅するCLT」をこのほど発表した。万博終了後に解体される部材を一度きりの再利用に留めず、全国各地で解体と構築を繰り返しながら旅をさせるように循環させる試みだ。万博という国家的なイベントの記憶を刻んだ木材を、次世代の資源へと昇華させるサーキュラーエコノミーへの挑戦として注目される。
本プロジェクトは、積水ハウスが2024年12月に発表した「循環する家(House to House)」の実現に向けた検証の一環として位置づけられており、日本館で利用されたCLTパネルのほか、同社の住宅解体材を組み合わせる試みも予定されている。再利用を前提とした住宅解体を可能にする技術や設計手法、デジタル情報の活用などの検証や試行をおこない、建築物が個別の建物という枠組みを超え、解体と再構築を前提とした素材のストックとなる可能性を模索する。

CLTは国内の森林資源の活用促進や地域経済の活性化といった観点から普及が進んでいるが、解体後の再利用については評価指針が未確立な点が多い。本プロジェクトでは、東京大学の青木謙治教授、東京大学大学院の権藤智之准教授と共に、履歴の把握や残存強度の測定を行い、解体材に「第二の役目」を与えるための科学的なエビデンスを構築する。

時間を経た木材が持つ手触りや歴史といった「感性価値」を尊重しつつ、システムとして社会実装を図るこの「旅」は、これからの住まいの可能性を広げていくだろう。また、建築が消費される存在から循環する存在へとシフトする中で、木材が果たす役割はより一層大きなものとなっていくはずだ。