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「森が水を生む」機能を衛星×AIで可視化 「高尾100年の森」で異業種3社連携、森林クレジット高度化を実証251

Updated by 『森林循環経済』編集部 on January 29, 2026, 7:29 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

ステラーグリーン、佐川急便、Water Scapeの3社は、東京都八王子市の「高尾100年の森」において、衛星データとAIを活用した森林モニタリングおよび水源涵養効果の可視化に関する実証事業を2025年8月から2026年12月まで実施している。東京都の「吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業」に採択されたもので、森林が持つ多面的な環境価値を定量化し、地域と都市が支え合う新しい循環経済モデルの構築を目指す。

自然資本の価値を経済価値へと変換

本事業は、フィールドを提供する佐川急便、データ技術とJ-クレジット制度に精通したステラーグリーン、サントリーグループで水循環の定量化を担うWater Scapeの3社による協働で推進される。それぞれの専門性を活かし、森林の環境的価値を経済の中で機能させる仕組みの構築を目指す。

高尾100年の森(提供:佐川急便)

ステラーグリーンは従来の航空レーザー計測に代わり、特許を取得した衛星データとAI補正を組み合わせ、森林の成長を継続的に把握する。作業の低コスト化と高頻度化を図り、J-クレジットの創出に必要な吸収量評価のハードルを下げる。

Water Scapeは森林が蓄える地下水の動きや水循環の変化を、専門知見を用いて定量的に可視化する。「森が水を生む」という水源涵養機能を科学的に評価することで、クレジットに付加価値を上乗せする仕組みを検証する。現段階では水や生物多様性を独立したクレジットとして扱うのは困難だが、これらをカーボン吸収量とセットで評価することで、クレジット自体の質的向上を目指す考えだ。

実証の舞台となる「高尾100年の森」は、佐川急便が2007年から保全を続けてきた約50ヘクタールのフィールドだ。長年の里山管理で培われた現場の知見と、最新のデータサイエンスが融合することで、見過ごされてきた自然資本の価値を経済価値へと変換する。

日本の森林は、木材価格の低迷や担い手不足により管理が難しい場所が少なくない。しかし、森林が本来持つ「炭素・水・生態系」という環境価値を可視化できれば、地域と都市がともに森林を支えるための指標となる。東京・高尾から発信される「自然資本の都市モデル」は、持続可能な森林経営の新たなスタンダードとなる可能性を秘めている。

■参考リンク
高尾100年の森プロジェクト│佐川急便株式会社<SGホールディングスグループ>
プレスリリース 高尾100年の森プロジェクト | 株式会社 ステラーグリーン
【告知】高尾100年の森プロジェクトにおける実証事業開始(Water Scape株式会社)

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