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無人ヘリで単木単位の森林情報取得を効率化へ 王子HD・ヤマハ発動機・精密林業計測の異業種連携でリモートセンシング実証を開始162

Updated by 『森林循環経済』編集部 on October 15, 2025, 8:58 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

王子ホールディングスとヤマハ発動機と精密林業計測が、リモートセンシングを活用した森林情報の取得と解析に関する共同実証を開始したと10月14日に発表した。単木単位の詳細な森林情報を取得し、林業のスマート化や業務精度・効率の向上を目指す。

広大な森林管理の課題に挑む

林業における人手不足や高齢化は深刻な課題だ。特に、広大で複雑な地形を持つ日本の森林では、資源量を正確に把握するための現地調査に多大な労力がかかる。今回の共同実証は、こうした課題を解決する林業DXの一環であり、王子グループが保有する国内複数の社有林で実施される。

実証では、ヤマハ発動機の産業用無人ヘリコプターが広域レーザ計測を行い、得られた高密度な点群データを精密林業計測が解析する。これにより、樹種・樹高・直径・材積・位置情報といった森林資源の構成要素を一括で可視化できるという。

ヤマハ発動機の産業用無人ヘリコプター

実証実験で得られた森林資源情報

実証実験で可視化した樹木分類図

実証実験で可視化した森林資源量解析(堅果類)

この取り組みが実用化されれば、現地調査の大幅な省力化や安全性の向上につながるとともに、データに基づいた精密な森林管理が可能になる。地形や水系に応じた樹種の分布や大径木の位置などを正確に把握することで、計画的な伐採や植林といった森林整備の精度が向上する。将来的には、CO2固定量算出やJ-クレジット制度へ展開することも視野に入れているという。

森林資源の高度な解析は木材利用という価値だけでなく、森林整備や資源管理の精度向上、さらには生態系保全にも貢献する。持続可能な森林管理にとって正確なデータは不可欠な基盤であり、共同実証はその実現を大きく前進させるものとして期待される。

■参考リンク
王子ホールディングスと精密林業計測との共同実証を開始~リモートセンシング技術で森林資源を可視化し、林業DXを推進~

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