Updated by 『森林循環経済』編集部 on November 22, 2025, 11:15 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
長崎県五島市は、アイフォレスト、杣林、ヤマハ発動機、一般社団法人みつめる旅の民間4者と連携して行う共同事業「五島つながるカーボンクレジット」(通称:つなクレ)に関する協定を締結した。五島市・久賀島の未施業林を活用して吸収・除去系ボランタリーカーボンクレジット(JVC)を創出し、その収益で森林事業者育成を含めた地域循環型ビジネスの実装を目指す。
本事業では、五島市の久賀島にある815ヘクタールの市有林を活用し、精密な計測技術と環境に配慮した施業を組み合わせ、CO2の吸収量や生き物の多様性を数字で見える化する。具体的には、ヤマハ発動機による無人ヘリを用いたLiDAR計測と、アイフォレストによる生物多様性調査で森林の現状を可視化する。

地元企業の杣林は、10年スパンで段階的な森林整備と人材育成を担う。調査と森林整備で創出されたCO2吸収量をもとにクレジットを発行し、企業などへ販売することで収益化を図る。さらに、森林施業の過程を見える化し、PR・CSR活動・教育研修などを通じて情報発信することで、都市部の企業や関係人口との共創関係構築をも見据えている。
クレジットは国立大学法人九州大学都市研究センターが率いる一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)の認証を受ける。CO2吸収量に加えて生物多様性の計測・評価を含んでおり、国際的整合性を確保した基準による認証を受けて発行されるクレジットは、九州で初めてとなる見込みだ。
本事業の核は、単なるカーボンオフセットに留まらず、クレジット収益を人材育成や地域活動に還元し、セクターを超えて森林に関わる「森林関係人口」を創出することにある。森林荒廃という地域課題を、脱炭素化の潮流に乗せて解決し、自然資本を活かした地域創生を同時に目指す。

自然資本を活かし、脱炭素と地域創生の両立を目指すこの地域循環型ビジネスは、実践的なモデルケースとなりうる。荒廃が進む日本の森林を再生させるための地域主導型の挑戦として、今後の成果が期待される。