Updated by 『森林循環経済』編集部 on December 06, 2025, 8:35 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
長野県根羽村と根羽村森林組合は、村内の豊富な大径材を活用するため、大径材の天然乾燥比較試験「Neba Scale(ネバ・スケール)」を11月より開始した。矢作川流域の山・里・海の3拠点で天然乾燥の比較検証を行い、化石燃料に依存しない持続可能な乾燥モデルの確立を目指す。エネルギー高騰への対策と地域資源の価値向上を両立させる、流域連携による挑戦となる。試験期間は2026年11月までの約1年間を予定している。
日本の森林は、戦後の拡大造林によって植えられた木々が成熟し、想定以上に太く育った「大径材」が本格的な利用期を迎えている。しかし、これらは現代の木材流通において扱いにくいサイズであることや、内部まで乾燥させる人工乾燥に膨大なエネルギーとコストがかかることから、十分に活用されず森に残されているのが現状だ。

こうした状況を打開すべく始動した「Neba Scale」は、人工乾燥のみに依存しない、環境負荷の低い乾燥手法を確立しようというプロジェクトだ。本実験では矢作川流域という一つの水系を軸に、環境の異なる3つのエリアで同時に天然乾燥の検証を行う。山間部の根羽村、平野部の安城市、沿岸部の西尾市に同条件の試験体を設置し、山・里・海それぞれの気候が木材の乾燥プロセスに与える影響を比較する。これにより、将来的な気候変動への適応可能性も探る狙いだ。
実験には、正角材(260mm角)、太鼓材(160mm厚み)、丸太材(皮剥きのみ)という3種の形状を用いる。新たな設備投資を行わず、既存の環境下で建築用材として実用可能な含水率まで下げられるかが焦点だ。設備投資のハードルを下げ、経済的な乾燥モデルが確立できれば、大径材を高付加価値な「地域資源」へと転換できる可能性が開ける。




単なる技術検証を超え、気候変動への適応策や木材利用の新たな可能性を探る今回の試みは、化石燃料に頼らない木材生産と流域全体での経済循環に真っ向から向き合い、日本の林業と木材利用のあり方を再定義する重要な一歩となるだろう。
■参考リンク
新たな木材活用。建築用材としての実用化を目指し、正角・太鼓・丸太の3種の形状で大径材の天然乾燥比較試験を根羽村森林組合が実施|トピックス|nebane