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東京メトロ、地下鉄初のバイオマス発電バーチャルPPA契約を締結 都市インフラによる「国内材活用」の新たな連携モデルへ211

Updated by 『森林循環経済』編集部 on December 12, 2025, 6:07 PM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

東京地下鉄(東京メトロ)は、関西電力などが出資する佐野バイオマス発電と、地下鉄初となる国内材を活用したバイオマス発電のバーチャルPPA契約をこのほど締結した。栃木県佐野市に新設されるバイオマス発電所から、約19年間にわたり年間約5,100万kWh分の環境価値の提供を受ける。安定電源であるバイオマスの導入により、同社が掲げる脱炭素目標の達成と、国内森林資源の循環利用が同時に推進されることになる。

需要地と発電地が離れていても再エネ調達が可能に

バーチャルPPAは、発電所から電力を物理的に直接受け取るのではなく、発電量に紐づく環境価値などを活用する仮想的な仕組みだ。需要地と発電地が離れていても再生可能エネルギーを調達できるため、大規模な電力消費を伴う都市インフラにとって、有効な脱炭素手法として活用が進んでいる。東京メトロは契約を通じて、佐野バイオマス発電が生み出す電力価値を取り込むことで、再生可能エネルギー由来電力の利用を拡大する。バイオマスは、安定的な出力が見込める再生可能エネルギーの一つであり、天候に左右されにくいという特性を持つ。

発電所イメージ図

今回の取り組みの核心は、地域の森林資源をエネルギーとして循環させる新たなサプライチェーンの構築にある。佐野バイオマス発電所は、関西電力やビーエイブルなどが出資し、佐野市に新たに建設される。燃料には関東地方で排出される一般木材や未利用間伐材による国産木質チップを活用する。2028年9月の運転開始を予定しており、発電出力は7.1MWに達する見込みだ。

今回の契約により、東京メトロの年間CO2排出量の約6.5%に相当する約2万1,981トンの削減が見込まれている。CO2削減効果は、スギの木約156万本が1年間に吸収する量に匹敵するという。森林整備の過程で生じる低質材に経済的価値が付与され、地域の林業経営を支えるとともに、健全な森林の育成という「森林循環」のサイクルが回るようになる。

東京メトロにとっても、この契約は「メトロCO2ゼロ チャレンジ2050」の実現に向けた大きな一歩となる。同社はこれまでも太陽光や風力、小水力発電によるバーチャルPPAを推進してきたが、天候に左右されない安定電源であるバイオマス発電を加えることで、再エネポートフォリオの盤石化を図る。

既存の発電所からの調達ではなく、新設の発電所から環境価値を購入することは追加性のある再エネ調達として高く評価できる。大都市の交通インフラが、地方の森林資源と結びつき、双方向の経済循環と環境保全を生み出すこのモデルは、脱炭素と地方創生を両立させる先駆的な事例として注目される。

■参考リンク
地下鉄初のバイオマス発電バーチャルPPA契約を締結国内材を活用したバイオマス発電所によるバーチャルPPA|東京メトロ
栃木県佐野市におけるバイオマス発電事業への参画および東京地下鉄株式会社とのバーチャルPPAの締結 関西電力

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