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日本発祥の身近な割り箸が問いかける、国産材活用と森林循環の未来226

Disposable chopsticks, a familiar Japanese tradition, raise questions about the future of domestic timber utilization and forest circulation

Updated by 小倉朋子 on January 28, 2026, 9:46 PM JST

小倉朋子

Tomoko OGURA

株式会社トータルフード/日本箸文化協会

(株)トータルフード代表取締役 食の総合コンサルタント/東証上場企業2社の社外取締役/亜細亜大・東洋大学・東京成徳大学兼任講師/食輝塾主宰/日本箸文化協会代表ほか/トヨタ自動車広報部に勤務後、国際会議ディレクター、海外留学を経て現職。飲食店、食品関連企業のコンサルティング、メニュー開発のほか、諸外国の食事マナーと総合的に食と生き方を学ぶ教室「食輝塾」を主宰。「食と心」を柱に、トレンド(分析、開発)から食文化、マナー、栄養、健康経営、食環境とメンタルまで、あらゆる食の分野に精通、専門が幅広いのが特徴。「箸文化と儀式」「日本の箸と特異性」「割箸と外食産業」について学術論文、箸に関する著書、監修多数。世界で唯一の日本箸文化の研究者といわれる。 トータルフード公式サイト 日本箸文化協会サイト

地球環境問題がクローズアップされた1990年代から2000年代初頭、森林破壊や二酸化炭素発生などの問題は、「割り箸論争」に発展した。「健康な木々の伐採により作られている」、また、使い捨てが「森林破壊につながる」とする批判が広まる割り箸は環境問題のひとつの象徴のように認識されていった。一方で、「割り箸に使われる木材はごくわずかであり、むしろ間伐材や製材時の端材を有効活用している」と擁護する声もあった。このような背景から、消費スタイルは影響された。

廃材利用をアピールする動きも

フードサービス業にも変化がみられ、客側は自分の使い慣れた箸を持参して外食の際にも使用する「マイ箸運動」がクローズアップされた。提供側の飲食店においても、客に提供する箸を割り箸から樹脂製のリターナブル箸に移行する店舗が増加した。

コンビニではそれまでお弁当等を購入した客には無料でつけてきた割り箸の扱いに苦慮することになる。有料にする店もあれば、「欲しいか欲しくないか」を尋ねるマニュアルを導入して欲しい客にだけ配る店もあった。また、廃材を利用して作った割り箸であることをアピールするなど、対応も様々であった。

マイ箸運動が落ち着いた現在、外食産業においては、ファーストフード店や居酒屋等では樹脂製の箸も使用されているが、懐石料理店や老舗割烹、老舗寿司店、ホテル内レストランなど客単価が高い飲食店においては、割り箸の提供が主流といえる。また、マイ箸を持参している客は滅多にいない。コンビニやスーパー、持ち帰り惣菜店などの中食を主流にする店においては、レジ前に割り箸が置いてあり、欲しい客が必要数を自由に取るスタイルが主流となって落ち着いた。

国産材を活用した割り箸

国内生産の割り箸の原料の大部分は国産材

割り箸は日本発祥で、もともとは世界で日本だけが使用していたものだが、林野庁によると、2010年前後には97%以上が輸入木材に頼っている状況にあった。林野庁のホームページによると、国内における割り箸の消費量は、近年は250億膳前後で推移していたが、平成19(2007)年以降は減少傾向となり、平成22(2010)年には194億膳(国民一人当たり年間約150膳)となっているとのことだ。低価格で製作可能な海外に押しこめられた形だ。

しかし国内で生産される割り箸の原料の大部分は、国産材となっている。平成22(2010)年の林野庁の調査では、国内で生産された割り箸5.5億膳のうち、国産材を原料とするものは約4.7億膳、輸入材を原料とするものは約0.8億膳で、国内生産における国産材の使用割合は86%である。

地球環境保全が求められる中、今後も「割り箸論争」のようなことは起こる可能性はあるだろう。滑りにくく、かつ、誰も使用していない割り箸は、清潔感もあり、海外の人にも人気が高くなりつつある。無論、日本人の生活には今後も欠かすことはできないだろう。木材だけで作られている点や、日本発祥の文化慣習でありながら、ほとんどが輸入品である実態、さらには大元の木材がどのように割り箸になっているのかなど、割り箸には森林循環を考える要素が多くあるように思える。割り箸との関わり方を見直すことも森林循環を考えるひとつのきっかけになり得るのではないだろうか。(トータルフード代表取締役・日本箸文化協会代表 小倉朋子)

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