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日本製紙と湖西市が持続可能な森林協働協定を締結 J-クレジット創出で地域のゼロカーボン推進へ002

Updated by 『森林循環経済』編集部 on April 02, 2025, 11:57 AM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

日本製紙と静岡県湖西市は3月27日、「持続可能な森林協働に関する協定」を締結した。市内の分収契約造林地(湖西分収林)を対象に、スギ・ヒノキ人工林の間伐を軸とした持続可能な森林経営計画を策定。間伐によるCO2吸収量の増大を通じてJ‑クレジットを創出し、湖西市の「ゼロカーボンシティ」宣言を下支えする形で地域のGHG排出オフセットに活用することを目指している。

スギ・ヒノキ人工林の間伐でCO2吸収を促進

協定の中核となるのは、湖西分収林(207.69ha)におけるスギ・ヒノキ人工林の間伐実施によるCO2吸収量の促進。認証対象期間は2024年7月16日から2040年3月31日までの16年間に設定され、FO‑001(通常型)手法に基づくプロジェクトとして約1万2000t‑CO2のクレジット創出を見込む。実施地面積は100.47haで、日本製紙が目標とする2024〜27年度の累計20万t‑CO2のJ‑クレジット登録計画に寄与すると同社は説明している。

創出されるJ‑クレジットは、湖西市が掲げるゼロカーボン達成のためのGHG排出オフセットに充当される。市民生活や地元産業のCO2排出を相殺することで、地方自治体レベルでのカーボンニュートラル実現に具体的な貢献モデルを提示。森林管理を通じた脱炭素施策と地域経済の両立を図る先進的な取り組みとして注目される。

今回の構想は日本製紙と湖西市の2者協働にとどまらず、しずおかフィナンシャルグループ(既に湖西市と「カーボンニュートラル推進に向けた相互協力及び連携協定」を締結)による支援も得て策定された。また、静岡県が推進する「森の力再生事業」で取得したレーザー航測データなどデジタル資源の活用、森林整備の担い手である引佐町森林組合による間伐実施といった多様なリソースを結集することで、計画実現の決め手を固めている。

地域貢献型のカーボンニュートラルは、全国の自治体と企業による脱炭素協働モデルの先駆例となり得る。日本製紙は自社社有林でのクレジット登録を進めながら、自治体連携の拡大にも意欲的だ。

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