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急傾斜地の林業課題にドローンで挑む 福岡県添田町で4トンの資材を空輸する実証実験004

Updated by 『森林循環経済』編集部 on April 09, 2025, 10:00 AM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

重機や車両が入れず、作業員も年々減少する——山間部の林業現場が抱える課題に、空からの解決策が登場した。トルビズオン(福岡市)などは、3月に福岡県添田町の山間部において、大型物流ドローンを用い約4トンの林業資材を空輸する実証実験を実施した。添田町森林組合と民間4社の連携により実現したこの取り組みは、林業現場の物流構造に変革をもたらす可能性を秘めている。

1フライトで最大40kgを運搬

実証実験が行われた添田町の作業地は、険しい地形とアクセスの困難さから、これまで大型資材の搬送に多大な人手と時間を要していた。運搬対象となったのは、苗木保護用サプリガードや苗木などの林業資材。

実証に使用された「DJI FlyCart30」は、最大積載40kg、航続距離16km(満載時)、最大飛行時間18分という高い運搬性能を持つ大型ドローン。今回は総計約4トンの資材を2日間にわたり10か所の荷下ろしポイントに運搬した。

実証実験は、以下の4社による協働で行われた。

飛行の安全性、搬送効率、作業負担軽減、費用対効果を中心に検証し、定量データを収集・分析。物流ドローンの実用性と導入メリットを明らかにした。

高齢化・人手不足の解消へ向けた布石

今回空輸した苗木保護用サプリガードは、急傾斜の林業現場で苗木が落下や摩耗、風雨などによるダメージを受けるリスクを軽減する役割がある。苗木は初期段階で繊細なため、現場の急な斜面や不整地での輸送・設置時に、保護用のガードが苗木をしっかり守ることが重要となる。

日本の林業は、作業者の高齢化と若手不足が慢性化しており、とくに山奥の急傾斜での搬送作業は身体的な負担も大きく、安全性確保も難しい。今回の実証が示すように、ドローンによる空輸は労働力の補完手段としてのポテンシャルがあり、法整備やコスト面の課題を乗り越えれば、新たな物流インフラとしての定着も期待される。

物流ドローンでやってみた~DJI FlyCrat30で4トンの林業資材運搬! – YouTube

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