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森林はなぜ人を魅了し、森林を語る著者はなぜか熱いのか…名著と向き合った1年337

Why Does the Forest Captivate Us, and Why Are Those Who Write About It So Passionate?—A Year Spent with Great Books

Updated by 長澤 光太郎 on August 18, 2026, 5:43 PM JST

長澤 光太郎

Kotaro NAGASAWA

(一社)プラチナ構想ネットワーク

1958年東京生まれ。元三菱総合研究所専務執行役員。在職中は主にインフラストラクチャー、社会保障等の調査研究に従事。入社から数年間、治山治水のプロジェクトに携わり、当時の多くの河川系有識者から国土を100年、1000年単位で考える姿勢を学ぶ。現在は学校法人十文字学園監事。東京都市大学非常勤講師を兼ねる。共著書等に「インフラストラクチャー概論」(日経BP社2017)、「共領域からの新・戦略」(ダイヤモンド社2021)、「還暦後の40年」(平凡社2023)。博士(工学)。

コラム執筆の始まり

当ウェブサイト「森林循環経済」が開設されてから一年余が経過しました。順調にアクセス数も伸びているようで何よりです。またトークライブなどの派生的イベントも行われるなど、メディアとしての成長も感じられます。文字ばかりだったトップページもいつの間にかカラフルな画像になりました。

私はこのサイトを立ち上げる企画に関わっていて、「森林を愛する人の集い」というコンセプトには共感しつつも「毎日1件のコラムをアップ」という野心的な試みがいつまで続けられるかには懸念もありました。というより、立ち上げ当初はコラム執筆者も少なかったので、一人が毎月書かなければ回らないのは明らかだったのです。

そんな状況だったので、編集部から「当然、長澤さんも投稿してくれるよね」と言われた時には、わかりましたと答えたものの、さて、そもそも森林に詳しいわけでもない自分が、どうすれば単発ではなく何回も投稿し続けられるかを考えざるを得ませんでした。その結果、森林関連の書籍を読んでその内容を紹介することにしたわけです。

森林の読書は楽しい

最初の一冊、千葉徳爾『はげ山の研究』だけは決めていたものの、あとは読後の好奇心に任せて選んできました。その結果がこれまでのラインナップです。はげ山の本を読み終えたら日本の森林史の全体像が知りたくなってコンラッド・タットマンや徳川林政史研究所の本を手に取りました。それらが例外なく先駆者として挙げている熊沢蕃山にも関心を持ち、彼の著書を読みました。また明治日本の林政がお手本にしたというドイツの森林管理思想や、それに先行したと言われるフランスの森林政策についても知りたいと思い関連書籍をとりあげました。さらにはドイツからもたらされた潜在自然植生の考え方(森林を放置するとどうなるのか)、その延長線上としてのスギの話や照葉樹林文化論そしてブナ帯文化論の書籍にも興味が出てきたので手を伸ばしました。

最初は「毎日1コラム」という本サイトの方針が実現できるようにと頑張ったところもありますが、森林関係の書籍は読み応えのあるものばかりで、今では次はどの本を取り上げようかと楽しみな仕事になっています。特に、著者の熱量の高さは、どの書籍でも特筆すべきものだと思います。これが、森林関連書籍の最大の特徴だと感じます。とにかく、「熱い」し、「熱く語る」著者が多い。

古書と奮闘

コラムで紹介する書籍を選ぶのは、実はなかなか骨の折れる作業です。良書は多くありますが、テーマや内容があまりに専門的だと私の手に負えないし、一応は「森林循環経済」の範囲に入っていてほしくもある。また引用の仕方にも気を使うので、いわゆるネタバレの弊害を避ける意味もあって、古い本が多くなっています。

絶版の古書は、基本的にAmazonで購入を試みましたが、在庫切れのケースもあります。このため片道2時間の図書館へコピーをとりに行ったりもしました。また、届いた書籍の包装を開けたら目が痒くなったりくしゃみが止まらなくなったりしたこともあります。古書特有のカビやダニ(の死骸)の飛散です。陰干ししたり掃除機をかけたりゴーグルやマスクをつけて読んだ本もありました。

森林と関わることの意味

紹介に至らなかった書籍も含めて、たかだか数十冊を読了したに過ぎませんが、それでも森林を一つの軸に興味深い書籍を探していくと、一種の世界観みたいなものができてくることを感じます。森林関連の読書コラム執筆を始めて一年あまり経過した今、私の脳内に浮かぶ森林のイメージは「文明以前への誘い」です。「野生への誘い」と言い換えてもいい。

人間と森林との関わりは農耕以前まで遡れます。狩猟採取時代の人類は、どんぐり(ナッツ類)を拾い集め、キノコを摘み、森の動物を狩って生きてきました。その年月は猿人や原人の時代以来およそ300万年に及ぶと言われます。農耕が始まったのは世界的には約1万年前、日本ではわずか約2〜3千年前です。人類の誕生から現在までを一年に圧縮して考えれば、私たちはお正月から12月30日までは狩猟採取時代、つまり森林と共に生きてきたことになる計算です。

森林がなぜか人を魅了し、森林を語る人がなぜか熱い人たちばかりであることは、この300万年にわたる共生の歴史の帰結かもしれません。森林と関わることは、わたしたちを文明以前のヒトに戻す力がある。そう表現することもできると思います。

これからの本コラム

森林関連の読書は楽しく、有意義です。1年間、それをやって痛感しています。これからもできる限り良書の紹介をしていきたいと思います。ただ、これまではちょっと自分の興味関心に寄せすぎたかなという反省もあります。

すでに編集部から推薦図書のリストが来ています。私としては、特に選り好みはせず、これは面白いと思った書籍を紹介していきたいと思うので、もし本コラムで紹介してほしい本がありますよという方は、編集部を通してご紹介いただければ、私が「これは面白い!」と感じたものはできる限りとりあげていきたいと思います。(プラチナ構想ネットワーク 長澤光太郎)

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