Promoting Japan's Economic Security and Regional Development through Game-Changing Forestry and Forest Products
Updated by 平石 和昭 on May 05, 2025, 7:04 PM JST
Kazuaki HIRAISHI
(一社)プラチナ構想ネットワーク
1984年東京大学工学部土木工学科を卒業後、株式会社三菱総合研究所に入社。海外事業センター長、政策・経済研究センター長、政策・公共部門副部門長、アジアパイプライン研究会事務局長、Northeast Asian Gas and Pipeline Forum Secretary General、エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社取締役副社長を経て現職。専門は、インフラ計画、交通経済、エネルギー経済。博士(工学)、技術士(建設部門)
森林は、CO2を吸収・固定することで、地球温暖化防止に貢献する。その有効利用は、カーボン・ニュートラルの実現に向けて石油、石炭、天然ガスなどの化石資源が使えなくなる中で、化石資源ベースからバイオマス資源ベースの社会経済への移行を促す。特に国産のバイオマス資源の活用は、自給率の向上を通じて日本の経済安全保障に役立つ。地方に多く存在する森林資源の活用は、林業や木材産業を活性化し、所得や雇用を創出することで、わが国の積年の課題である地方創生を実現する。さらに、森林資源の適切な管理は、山林の浸食防止や崩壊防止、洪水緩和、水資源貯留、水質浄化、森林文化の醸成など、多様な恩恵を国民にもたらす。
日本は、国土の3分の2を森林が占める森林資源大国である。森林の多面的な機能や効果を高度かつ持続的に発揮させるためには、天然林や自然林など多様な森林がバランスよく形成されるよう取組を進めることが必要だ。国が定める「森林・林業基本計画」でも、森林の望ましい姿とその姿への誘導の考え方を示しており、特に自然的・社会的条件が良く、林業に適した森林では、主伐後の植栽による確実な更新により資源の循環利用を推進すると明記している。
しかしながら、日本の林業は、脆弱な経営の改善が必要と長年にわたり指摘されているが、一向に改善されていない。プラチナ構想ネットワークは、この状況を打破するためには大きなパラダイムシフトが不可欠と考えて「プラチナ森林産業イニシアティブ」を立ち上げ、会員の99団体・者と連携して活動を行っている。
その基本的な考え方は、新しく大きな木質バイオマス需要を見せることで供給側(森林・林業)を刺激し、森林・林業の革新(ゲームチェンジ)を引き起こそうというものだ。建材やパルプ、燃料などの従来型の需要に加え、新たな需要としては、「バイオマス化学(木質バイオマスのプラスチックなど化成品の原料化)」と「木造都市(非住宅建築物の木造化・木質化)」に注目した。大きな需要を示すことで、他分野からのプレーヤーの参画を含む森林・林業の革新を促し、「森林循環経済(木を伐って→使って→植える)」の実現を目指している。
このたび、プラチナ構想ネットワークでは、日本における森林循環経済の構築支援を目指して、ウェブメディア「森林循環経済」を立ち上げた。今後数回にわたり、我々が考える森林循環経済の姿やその実現に向けたプラチナ構想ネットワークの活動を報告する。(プラチナ構想ネットワーク事務局長 平石 和昭)