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「首都圏の水がめ」みなかみ町とスターバックスが森林保全で連携協定 間伐材の活用を利根川源流から推進010

Updated by 『森林循環経済』編集部 on April 22, 2025, 9:02 PM JST

『森林循環経済』編集部

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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

群馬県みなかみ町とスターバックス コーヒー ジャパンは、地域資源を活かした持続可能な社会の実現に向けた新たな取り組みを開始した。4月21日、「利根川源流から始める豊かな森林と人を育む連携協定」を締結。間伐材など地域の森林資源を活かしながら、気候変動への対応や生物多様性の保全を見据えた社会課題の解決に乗り出す。

森林の多面的機能を強化

この協定では、水源涵養、生態系の保全、地球温暖化の緩和など森林が持つ多面的な機能を回復・強化することを目指す。これまで十分に利用されてこなかった多様な間伐材に着目し、地域資源の循環利用を進める方針だ。スターバックスはすでに一部店舗で国産木材を活用した空間づくりを進めており、今回の協定によってその取り組みがより地域密着型へと進化する。スターバックスが持つ企画力やデザイン性、そして広範な顧客接点を活かすことで、これまでになかった革新的な間伐材の利用法が生まれ、その価値が広く社会に認知されるきっかけとなるかもしれない。

みなかみ町は、利根川の源流域に位置する「水源のまち」として知られる。豊かな森林資源を有する一方で、その維持管理は重要な課題だ。手入れが行き届かない森林では、多面的な機能が十分に発揮されない可能性がある。適切な森林管理、特に間伐は、健全な森林を育成し、多面的機能を維持・向上させるうえで不可欠となる。

企業のCSRを超えた官民共創の動き

「首都圏の水がめ」となる地域での森林管理は、都市部の生活とも密接に関係している。スターバックスがここに着目した背景には、企業のサプライチェーンにおける環境配慮を一層強化する意図がある。大手コーヒーチェーンであるスターバックスが、そのブランド力やネットワークを活かし、自治体と共に森林保全に取り組む姿勢は、企業の社会的責任(CSR)や環境・社会・ガバナンス(ESG)経営の観点からも注目に値する動きと言えるだろう。

今回の協定は、単なるCSR施策ではなく、官民の協働による事業の推進という実行力を備えた取り組みでもある。企業と自治体が共創することにより、持続可能な地域経済と自然資源の循環型活用を図る新たなモデルケースとなる可能性を秘めている。

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