Updated by 『森林循環経済』編集部 on May 23, 2025, 11:12 AM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
TREホールディングスと三菱ガス化学は、国内初となる商業規模の「グリーンメタノール」製造・販売事業に向けた戦略的業務提携の開始を5月22日に発表した。木質バイオマスおよび廃棄物を原料とする次世代燃料の事業化について共同で検証を進める。
グリーンメタノールとは、化石資源を用いずに、再生可能な資源や廃棄物を原料として製造されるメタノールだ。船舶燃料、化学品原料など多用途に活用できることから、近年、脱炭素社会の実現に向けた「次世代カーボンリサイクル燃料」として注目されている。
TREは、循環型社会の形成に向けた廃棄物処理・資源循環分野に強みを持ち、これまでも廃棄物由来のエネルギー活用に取り組んできた。今回は木質資源や廃プラスチック等を調達し、メタノール製造に適した構成で原料として三菱ガス化学に供給する。木質資源は、千葉県森林組合と連携し、森林整備計画に基づいて安定供給することを目指す。
一方、三菱ガス化学は、メタノール製造における高度なプロセス技術とグローバルなネットワークを有している。今回は、TREが供給する木質資源や廃棄物から得た合成ガスを原料に、グリーンメタノールの製造・販売に向けた検証を行う。両社が持つ強みの融合により、未利用資源の高度活用とエネルギー自立の両立が期待される。
今回の提携は事業化に向けた第一歩であり、両社で具体的な製造プロセス、サプライチェーンの構築、経済性評価などを進めていく。木質バイオマスの安定的な調達方法、多様な廃棄物の効率的な処理・ガス化技術、そして製造コストの低減などが、事業化成功の鍵となりそうだ。
これまで、グリーンメタノールの製造拠点は主に海外に限られていたが、今回の提携は、国内での商業規模生産に向けた最初の動きとなる。森林由来のバイオマスを活用する点で、林業関係者にとっても資源循環の観点から大きな意義を持つ。