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森林所有者の負担ゼロで再造林・管理を一貫支援 放置森林の再生へ新法人「新潟・山のバトン」設立059

Updated by 『森林循環経済』編集部 on June 10, 2025, 10:00 AM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、木造都市の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

スギ人工林が伐期を迎え、再造林されずに放置される森林が増える新潟県村上市で、森林所有者の金銭負担ゼロで伐採から再植林・長期育林管理までを担う一般社団法人「新潟・山のバトン」がこのほど設立された。伐採・造林の事業者と自治体が連携し、地域の次の100年の森づくりを目指す。

業者連携によるワンストップ体制を実現

森林所有者から伐採の依頼を受け、まず再造林までの計画を立案したうえで協賛企業を募り、一連の作業に着手する。再植林や育林にかかる費用は企業などからの協賛金でまかない、伐採収益を再造林費用に充てることもないため、森林所有者には金銭的負担が生じない。

伐採後の長期にわたる維持管理についても「山のバトン」に任せられるのは、伐採・造林・管理をワンストップで行う体制を構築し、最長30年間の長期管理契約に対応しているためだ。

作業は専門的な知見と技術を有する会員各社が分担する。伐採作業を丸実と中嶋木材が、造林作業をGREEN FORESTERS(青葉組)が担当する。新潟県村上市は森づくりパートナー会員として参画しており、行政施策を通じた支援体制が確立された。

年間30ha規模の再造林を目指す

新たな森林管理体制の構築で、年間30ha規模の再造林プロジェクトを推進し、Jクレジット制度を活用した森林由来のカーボンクレジットの創出を目指す。今後は、地域資源を活かしたエコツーリズムや教育プログラムなどの新規事業も展開する方針だ。これにより、地域の森林から生み出される収益を地域社会へ還元する好循環モデルの確立が期待される。

新潟県に限らず、全国的に主伐期を迎えた人工林が有効活用されずに放置されるケースは少なくない。林業従事者の人手不足や所有者不明といった問題もあるが、森林所有者にのしかかる費用負担や森林経営の煩雑さが及ぼす影響力は無視できない。森林所有者の金銭的負担を伴わずに、伐採から再植林、さらには長期的な管理までを一貫して担う仕組みは、これまで停滞しがちであった国内の森林資源の循環利用を加速させる可能性を秘めている。

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