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【木造マンション意識調査:2】「RC造より高価格」でも購入検討が3割 木造の付加価値訴求で選択肢になる可能性も069

[Wooden Apartment Opinion Survey: 2] 30% are considering purchasing even though wooden apartments are "more expensive than reinforced concrete"

Updated by 滝澤悠太 on July 03, 2025, 6:40 PM JST

滝澤悠太

Yuta TAKIZAWA

(一社)プラチナ構想ネットワーク

2019年長野県庁に入庁。建設事務所にて公共工事の入札・契約事務、福祉事務所にて障がい者福祉及び生活保護ケースワーカーを担当。2024年よりプラチナ構想ネットワークに出向中。

生活者アンケートを活用した木造マンションに関する意識調査の第2回は、「Q. 一般的な鉄筋コンクリート造(以下「RC造」)のマンションと比較し、どれくらいの家賃であれば検討の対象となるか?」に対して得られた回答結果である。

6割強は「RC造と同等以下の家賃」であれば検討

木材利用による効果(メリット)に対する生活者の考えの傾向については前回紹介した。木材のメリットを生かした木造マンションであったとしても、やはりマンション価格(賃貸の場合は家賃)が生活者の住居選択に大きく影響することは想像に難くない。現時点では、木造マンションの建設コストはRC造などの一般的なマンションと比較すると高くなる傾向にあるため、同スペックの一般的なマンションと比べると木造マンションの価格(家賃)は割高になりやすい。

こうした現状は、木造マンションの普及に大きく影響するため、住居選択の際の木造マンションに対する費用感について調査し、回答を得た。結果は図のとおりである。

全体の3割弱は、価格が高くても検討する層でRC造より高い価格(家賃)でも木材使用によるメリットを得られるなどの一定の条件下で検討する意向があることが明らかになった。
一方、全体の6割強は、RC造と同等かそれ以下の価格(家賃)でないと検討しにくいと考えていることも明らかになった。

<木造を選ばない層>
全体の1割強は、RC造より安価であっても木造マンションを選択しないという強い意志を示す層が一定数存在した。こちらについては、次回、「選択しない理由」について紹介したい。

<価格が高くても検討する層>
全体の3割弱は、価格が高くても木造マンションを検討する意向を示しており、性能・デザイン・環境配慮といった価値を訴求することで一定の需要を喚起できることが示唆された。この層には今後も積極的に木造マンションの魅力を伝え、実際の選択へとつなげていくことが重要である。

<RC造と同等以下の価格なら検討する層>
全体の6割強は「RC造と同等以下の家賃」であれば検討するとしており、価格の妥当性が選択の大きな要因となっている。ただし、この層に対しても、快適性や健康面、環境への配慮など、木造マンションならではの付加価値を丁寧に伝え、コスト以外の魅力を理解してもらうことで、選択につながる可能性がある。

さらに、こうした層による選択が徐々に広がっていくことで、木造マンションの需要拡大が進み、スケールメリットによるコストダウンも期待できる。結果として、木造マンションはより多くの人にとって選びやすい選択肢となっていくだろう。(プラチナ構想ネットワーク 滝澤悠太)

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