Updated by 『森林循環経済』編集部 on February 25, 2026, 9:41 AM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
三井不動産と日本製紙は、高いCO2固定力を持つ新品種「クリーンラーチ」の苗木を、北海道にある両グループの保有林に植林していく。日本製紙が培った独自の苗木生産技術により効率的な増産が可能となったことで、大規模な植林が実現する。持続可能な林業と森林資源の循環を目指し、2026年秋から順次植林を進めていく予定だ。
クリーンラーチはグイマツ精英樹とカラマツを掛け合わせた品種であり、北海道立総合研究機構によって開発された。通常のカラマツと比較してCO2を固定する能力が7%から20%ほど高いことが大きな特徴だ。また、成長速度が比較的早いため、育成の過程で大きな負担となる下草刈りの回数を減らすことができる。

加えて、近年課題となっている野ネズミによる食害への抵抗性が期待できるほか、幹の通直性や強度にも優れており、環境貢献と産業利用の両面で次世代の樹種として注目を集めている。
これまでクリーンラーチは挿し木による増殖が難しく、苗木の供給体制が整っていなかったため普及が進んでいなかった。しかし、日本製紙が海外植林などで培ってきた独自の技術を投入したことで、従来よりも10倍以上の効率で苗木を生産できる体制が確立された。これにより、三井不動産が進める「終わらない森」創りの一環として、旭川市の保有林などで具体的な植林計画が本格的に始動する。

今回の取り組みの背景には、三井不動産グループが掲げる森林循環のビジョンと、日本製紙グループが有する高度な苗木生産技術の融合がある。三井不動産は北海道に約5000ヘクタールの広大な森林を保有しており、自社で「植える、育てる、使う」という循環サイクルを回す取り組みを続けている。一方、日本製紙は「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、優れた特性を持つエリートツリーの普及による林業の再生に注力してきた。
両社が強みを持ち寄ることで、環境負荷を低減しつつ収益性を確保できる持続可能な林業のモデルケースが提示される。今後は、北海道におけるクリーンラーチの普及活動に加え、生育の北限を検証する共同研究も実施される。民間企業が互いのフィールドと技術を補完し合い、森林資源の価値を最大化するこのプロジェクトは、サステナブルな林業と森林循環の実現に向けた重要な一歩となるだろう。
■参考リンク
三井不動産グループの“終わらない森”創り×日本製紙グループの苗木生産技術
“CO2を貯め込む木”クリーンラーチ苗を、北海道のグループ保有林へ植林(三井不動産株式会社、日本製紙株式会社)