Updated by 『森林循環経済』編集部 on August 20, 2026, 6:43 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
脱炭素社会の実現に向け都市を「第二の森林」として機能させる炭素貯蔵効果や地域資源の活用を背景に、中大規模木造建築を推進する動きが加速している。これまでは、高さ制限や防耐火などの法規制、設計の複雑さ、建築コスト、そして国産木材の調達難といった多様なボトルネックが存在していた。しかしこれらの課題解決に向け、政策、設計、コスト、技術、調達そして資源循環の各領域において実務的なアプローチが相次いでいる。国交省による推進事業をはじめ、都心部における9階建てハイブリッド構造オフィスの開業、AIによる設計支援、構造コストの最適化、都市部の高さ規制を克服する技術開発、賃貸集合住宅分野での国産材利用推進まで、具体的な取り組みが広がっている。
建築物の木造化・木質化を通じた炭素貯蔵効果が期待される中大規模木造建築物の普及に向け、国土交通省は令和8年度「優良木造建築物等整備推進事業」における「普及枠」の採択プロジェクト13件を決定した。これは中大規模木造建築物の普及につながる計画や先導的な設計・施工技術が用いられる取り組みを支援する制度だ。今回の普及枠では主要構造部への一定以上の木材使用やZEH・ZEB水準への適合などを要件に、共同住宅や店舗、事務所、介護施設の新築工事などが選定された。調査設計費や木造化に伴う建設工事の掛増し費用などを補助することで、民間における中大規模木造建築のモデル創出と普及の加速を図る狙いだ。

※参考リンク
令和8年度「優良木造建築物等整備推進事業」採択プロジェクトの決定 ~炭素貯蔵効果が期待できる中大規模木造建築物の普及に資するプロジェクトを採択~ | 国土交通省
サンケイビルは、木造と鉄骨造を組み合わせた地上9階建てのオフィスビル「KiGi AKIHABARA」を7月に開業した。構造や施工の制約から木材利用が進みにくい都心部において、中央のコア部に鉄骨造、外周部に木造フレームを配置するハイブリッド構造を採用。木質耐火部材「環境配慮型λ-WOODⅡ(ラムダウッド・ツー)」や木材を耐火被覆とした鉄骨部材「ドレスウッド」、木質材料を用いた耐震部材「KS木質座屈拘束ブレース」といった熊谷組および住友林業の技術を導入した。同規模の鉄骨造と比べて建設時CO2排出量を約112.3トン削減できると試算している。Puddle社が空間デザイン監修を手がけた共用部やラウンジにも木材をふんだんに取り入れ、快適性と環境配慮を両立させた。中高層の木造オフィス開発は同社にとって初の試みとなる。複数の木質化技術や木材を組み合わせ、都市部における中大規模木造建築の新たなモデルとして注目される。


日建設計、日本設計、三菱地所設計、ArchiTechの4社による中大規模木造建築に特化した設計支援AIツールの開発事業が、林野庁の補助事業に2年連続で採択された。公的資料などの信頼できる知見を集約・構造化し、出典情報を提示しながら回答するチャット型のAIツールを構築する。前年度に続き「CLT等木質建築部材技術開発・普及事業」に採択された。中大規模木造建築の設計実務では、構造や防耐火、木材調達などの高度な専門知識に加え、法規制やガイドラインが関係機関ごとに分散しており、情報収集にかかる負担の大きさが課題となっている。4社が設計者460人を対象に行った調査では、約半数(46.7%)が情報収集に1日1時間以上を費やしている実態が判明している。 設計3社が参照データ収集や試験運用を行い、ArchiTechがシステム構築を担う体制のもと、実用化に向け回答精度や更新フローの確立、データ連携パートナーの拡充に注力する。

構造設計を手がける、さくら構造は、中大規模建築におけるコストパフォーマンスを追求した新たな木造サービス「セレクトウッド」の提供を5月から開始した。鉄骨造やRC造で培った構造躯体最適化設計のノウハウに加え、京都大学との連携による耐震性の技術的裏付けを活用。同社によると、他構造からの切り替えで最大約35%のコスト削減を可能にするほか、木造と他構造を組み合わせたハイブリッド構造にも柔軟に対応する。あわせて、5階建ての自社オフィス「SAKURA FOREST」の建設を通じて経済性や施工性を実証中だ。さらに、施工や製材を担うゼネコンや工務店、プレカット業者などのパートナー募集も同時に進めている。建設費の高騰が深刻化するなか、特定の構造に縛られない立場から中大規模木造の現実的な選択肢を提示し、事業主の導入ハードルを下げる取り組みとなる。

※参考リンク
【新サービス】中大規模木造コスト最適化手法「セレクトウッド」をリリースしました | さくら構造株式会社
三井ホームと銘建工業は、直交集成板(CLT)を用いて防音性と薄型化を両立した新たな遮音床構造を共同開発した。建築物の最高高さが10m以下に制限された地域では、従来約500mmあった床構造の厚みがネックとなり、階高の制約から木造3階建てが実質的な上限とされてきた。今回の共同開発では、銘建工業が製造した国産材CLTを床根太に採用し、三井ホーム独自の高遮音床仕様「MOCX MUTE(モクスミュート)」を組み合わせることで、床構造を300mm以下まで薄型化しつつ十分な遮音性を確保した。土地活用に制限が多い地域における木造集合住宅(アパート・マンション)などの4階建て化の可能性を広げる技術として期待される。


東建コーポレーション、協和木材、ダイリFPCの3社と農林水産省は、賃貸集合住宅分野で初となる「建築物木材利用促進協定」を5月に締結した。3年間で、住宅約1200戸分に相当する計3万立方メートルの国産材利用を目標に掲げる。ツーバイフォー工法に用いる幅広材は、大径木不足や乾燥技術・加工設備の制約から北米産などの輸入材への依存が続いており、国際情勢や為替による調達リスクが課題となっている。福島県の協和木材、そして約15年前から徳島県と共同で大径木の有効活用を研究し、国内でも希少な5m幅広材の量産体制を確立した徳島県のダイリFPCが供給の主力を担う。原木の調達から加工、施工現場への供給までを一貫して結ぶ国内サプライチェーンを整備することで、輸入材に頼らない調達基盤を整えるとともに、国内の大径木需要を創出して林業の活性化や脱炭素化につなげる。

※参考リンク
“輸入材依存”からの転換へ” 賃貸集合住宅分野で初、国産材ツーバイフォー部材利用を推進/農林水産省・東建コーポレーション㈱・協和木材㈱・㈱ダイリFPCが協定締結 | PR TIMES
プラチナ構想ネットワークは7月6日、「プラチナ森林産業イニシアティブ・フェーズ4成果報告会」を開催した。「木造都市分科会」では、フェーズ3までに策定した「2050年・9階建て木造化」のビジョンを具現化するため、フェーズ4においては「木造都市の加速に向けた面的な案件形成」に注力している。具体的には、首長向け提案書を会員自治体に送付し、長野県飯田市(リニア駅周辺)や岡山県(まちなか木質建築)などの有望地域において、街区・エリア単位でのプロジェクトチーム組成や伴走支援を推進する。また、事業環境整備のブラッシュアップとして、乾燥・グレーディング専門業者等の活用による「JAS認証の運用見直し」や、自治体・企業向けの「CO2固定オフセット制度(SHK制度見直し)」の展開支援を政府等へ継続提案している。さらに、耐久性評価ガイドラインの周知徹底により融資借入期間の50年長期化(鉄骨・RC造と同等)を促すなど、需要創出と制度改革を両輪とした「森林循環経済」の社会実装を強く訴えている。

プラチナ森林産業イニシアティブ フェーズ4成果報告 一般社団法人プラチナ構想ネットワーク
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