How to connect the construction and forestry industries — A collaborative model to transform road network development into "infrastructure maintenance and management"
Updated by 加藤聡悟 on March 26, 2026, 10:18 AM JST
Sougo KATO
株式会社リーフレイン
金融機関でハイテク分野の企業調査に携わったのち、造園建設現場における監督業務を経て現在独立。素材産業や再生可能エネルギー、木材利用の分野に関心を持ち、近年は林業に関する企画執筆に取り組んでいる。かつて現場を通して山林作業に携わった体験を背景に、現場のリアルと産業構造の接点を探る執筆を目指している。
近年、日本の林業ではスマート林業やDXを背景に、IT企業や機械メーカーなど異業種による実証実験が相次いでいる。ドローンやICT機械、データ分析を活用し、森林管理や木材生産の効率化を目指す動きは活発化している。しかし、こうした技術導入には林業現場の基盤整備が不可欠である。高性能林業機械やICT技術も、路網など作業環境が整備されていなければ十分に機能しない。こうした現場インフラ整備の担い手として、過去には建設業との協働が模索された。2000年代には公共事業の減少を背景に建設業の林業参入が各地で試みられ、作業道整備などでその技術が期待された。しかし、この取り組みは広く定着したとは言い難い。なぜ建設業の林業参入は続かなかったのだろうか。
建設業の林業参入が模索された背景には、林業と建設業双方の事情があった。林業では担い手不足が深刻化する一方、2000年代には公共事業の減少により建設業の仕事量が減少していた。こうした状況から両者を結びつける政策が検討され、岐阜県飛騨地域では2008年に「ひだ林業・建設業森づくり協議会」が設立されるなど、協働の取り組みが始まった。
当時の日本の林業は機械化が進み始めた段階にあり、高性能林業機械を活用するための林内路網整備の必要性が高まっていた。このため森林作業道などの路網整備が生産性向上の鍵とされ、重機や測量技術を持つ建設業の参加が期待された。
しかし、こうした建設業の林業参入は広く定着したとは言い難い。景気回復などに伴い公共工事が増えると、建設業者が本来の土木工事へ回帰したことが主な要因とされている。
もっとも、その背景には林業の事業構造の問題も考えられる。林業では施業単位が小さく分散しており、作業道整備も森林施業に付随して発生するため工事規模は限定的になりやすい。さらに作業道は簡易構造で整備されることが多く、舗装を伴う一般道路に比べても単価は低い。このような小規模で分散した工事は、建設業にとっては業務としてのボリュームが出にくい。段取りの負担が大きい一方で工事規模や単価は限られ、経済的メリットが生まれにくい構造である。
また、土木と林業は作業地域や重機利用といった共通点がある一方、施工の考え方は大きく異なる傾向がある。林業は森林条件や地形を踏まえた現場判断を重視するのに対し、土木は設計図面と施工精度に基づく計画的施工を基本とする。この作業思想の差異も協働を難しくし、双方の役割を分断しやすくした結果、建設業が林業の中心的業務に関与しにくい構造を生んでいたと考えられる。こうした点も参入が定着しなかった一因となった可能性がある。
建設業の参入が定着しなかった結果、作業道整備などは林業側が担う形へ移行していった。近年は高性能林業機械の普及により、森林組合や林業事業体がバックホウなどを用いて路網整備を行う例も多い。しかし林業と土木では本来求められる技術領域が異なる。林業は木材生産を主目的とするのに対し、山地に道路を造成する作業には地形や土質、水の流れを踏まえた土木的設計・施工技術が必要である。実際、不適切な作設による森林作業道の崩壊や災害拡大の可能性や、技術水準のばらつきについての指摘もある。また高性能林業機械の普及に比べ路網整備は十分とは言えず、林業主体の整備体制では安全性確保と路網密度向上を同時に進めることは容易ではない。

林業と同様に人手不足が進む建設業界では、林業との協働の流れは以前ほど強くは見られなくなっている。しかし林業の機械化を進めるには、路網整備など土木技術を必要とする分野で建設業とのつながりを維持することが重要である。そのためには、従来のような参入型ではなく、作業道の補修や排水整備など山地インフラの維持管理を担う形で関係を再構築することが現実的である。小規模で分散する作業を年間の維持管理業務としてまとめ、一定の仕事量として見通せる形にすることで、建設業も無理なく関与を続けることが可能となる。こうした体制が整えば、林業の機械化や生産性向上の前提となる路網整備のボトルネックを緩和することにもつながると考えられる。(株式会社リーフレイン 林業ライター 加藤聡悟)