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Nutrient Data on Combustion Ash, Biochar, Compost, and Digestate — The Potential of Returning Biomass-Derived Materials to Forest Land
Updated by 仲川泰則 on August 21, 2026, 9:00 PM JST
Yasunori NAKAGAWA
編集プロダクション雨輝
森林科学アドバイザー/大学院時代より森林生態系の物質循環に関する研究に取り組み、博士(農学)を取得。大学院修了後は、日本学術振興会特別研究員として湿地林の物質循環をテーマに研究を行った。その後、自然再生事業やバイオマスエネルギー事業にも携わった。
前回のコラムでは、バイオマス造林地の土壌が持つ機能の損失を回避する、あるいは損失した機能を回復させるために、バイオマス由来資材を林地に還元することを提案した。その際に、利活用できる資材として、燃焼灰、バイオ炭、堆肥、消化液を挙げた。他に、利用例の多い資材も含め、今回紹介したい。
林地に還元できる主なバイオマス由来資材の養分含有量を、固形資材については表1に、液体資材については表2に示す。これらは、原物(湿重)ベースでの値である。

※注記
・牛ふん堆肥、木質バイオマス燃焼灰、固形消化残渣(脱水ケーキ)、メタン発酵槽底部堆積物は、文献では乾物ベースで表記されていた数値を原物(湿重)ベースに換算した。
・P、K、Ca、Mgについては、文献中でそれぞれP2O5、K2O、CaO、MgOとして示されている場合、元素量に換算した。
・参照の数字は、末尾に記載した参照文献の番号である。
※1 バイオ炭(もみ殻)について、参照文献には水分およびC/N比の記載がない。
※2 木質バイオマス燃焼灰のC/N比67は参照文献に記載された値である。ただし、木質バイオマス燃焼灰ではNが非常に少なく、他の資材のC/N比と同じ意味では比較できない。

まず表1のうち、牛ふん堆肥から木質バイオマス燃焼灰までの4種類の資材の生成過程や、使用したデータについて説明する。
・牛ふん堆肥の数値は、千葉県で「堆肥ネット」に登録された牛ふん堆肥140点の平均値である。この中の66%が、副資材を質量ベースで10%以上使用している(※参照1)。
・「下水汚泥コンポスト」とは、下水汚泥を堆肥化したものである。同様の資材が「汚泥堆肥」「汚泥肥料」などと呼ばれ、広く利用されている(※参照8)。表1の数値は、参照文献2で紹介されている高島浄化センターコンポスト化施設から得られたものである。
・「バイオ炭」について参照文献3によれば、炭化物のなかでも2006年IPCCガイドラインの2019年改良版では「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350度超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」と定義されている。表1の数値は、九州地域で市販されている農業用もみ殻炭の平均肥料成分である。もみ殻以外を原料にしたバイオ炭も多数存在する。
・「木質バイオマス燃焼灰」とは、木質バイオマスを熱利用や発電のために燃焼した後に残る灰である。単に「燃焼灰」と呼ばれることが多い。表1の数値は、カラマツ全木ペレットの燃焼灰を複数のペレットストーブより採取した後に分析した結果である。
それ以外の資材は、メタン発酵により発生したバイオガスを回収後に得られた残渣液(以下、消化液)、さらに固液分離したもの、発酵槽の底部に堆積したものである。
・表2のメタン発酵消化液は、固液分離などの処理をしていない。この数値は、乳牛ふん尿に食品残渣を加えたものを原料にして生成された消化液から得られたものである。
・表1の固形消化残渣(脱水ケーキ)とは、発酵後の消化液を機械的に固液分離して回収した有機質主体の固形分である。残った液体が、表2の脱水ろ液である。原料は、乳牛ふん尿に野菜汁が加えられたものである。
・表1のメタン発酵槽底部堆積物とは、長期間の運転中に発酵槽の底へ自然に沈降・蓄積した物質のことである。原料は、乳牛ふん尿に食品残渣を加えたものである。
・家畜ふん尿を原料にする場合、畜舎で敷料として使用するわらやおがくずが混入することが多い。
各資材の養分含有量は、原料・製造条件で大きく変わる。一方でこれらの資材は、実際に肥料や土壌改良材として利活用されている。液肥である消化液では、不足する成分がある場合は化学肥料と併用されることもある(※参照9)。「メタン発酵槽底部堆積物」はメタン発酵設備を運用する際に徐々に発生・蓄積するため、定期的に除去する必要がある。しかし、土壌に還元された事例がまだ少なく、今後の普及が望まれる。
今回取り上げた資材の中で、現時点(2026年8月)のJ-クレジット制度では、農地へのバイオ炭施用が土壌炭素貯留として対象となっている(※参照10、11)。林地への還元が対象になるかは確認が必要である。一方で、表1と表2で扱った資材を肥料や土壌改良材として林地へ還元することで、廃棄物削減やカーボンニュートラルに貢献できる可能性はある。
次回以降は、実際に農地や林地へ還元された事例を紹介し、日本国内のバイオマス造林地への適用可能性を検討したい。(編集プロダクション雨輝・森林科学アドバイザー 仲川泰則)
※参照
(1) 吉橋泰彦(2025)千葉県内で生産される家畜ふん堆肥の特性. 千葉県農林総合研究センター研究報告. 17, 34–42.
(2) 山口典子・井原啓貴(2026)下水汚泥資源の活用の取組と肥効見える化アプリについて. 中国四国地域国内肥料資源利用拡大ネットワーク勉強会資料.(閲覧:2026年8月2日)
(3) 脱炭素に向けた農林業環境研究コンソーシアム編(2025)バイオ炭の農業利用事例とその活用ガイドブック. (閲覧:2026年8月2日)
(4) 折橋健・山田敦・高橋徹・田代直明・古賀信也(2011)木質バイオマス燃焼灰の林地還元に向けた基礎知見―カラマツペレット燃焼灰を用いた検討―. 九州大学農学部演習林報告. 92, 13–18.
(5) 中村真人(2011)メタン発酵消化液の液肥利用とその環境影響に関する研究. 農村工学研究所報告. 50, 1–57.
(6) 中村真人・山岡賢・相原秀基・柚山義人・折立文子(2014)メタン発酵槽内に蓄積する物質の成分的特徴. 農村工学研究所技報. 215, 31–37.
(7) 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所(2012)メタン発酵消化液の畑地における液肥利用―肥料効果と環境への影響―. (閲覧:2026年8月2日)
(8) 農林水産省農産局技術普及課生産資材対策室. 国内資源由来肥料の活用事例集(2.下水汚泥資源). (閲覧:2026年8月2日)
(9) 一般社団法人日本有機資源協会 (2024) バイオ液肥活用先進事例集. (閲覧:2026年8月2日)
(10) 農林水産省(2024)J-クレジット制度において農業分野の方法論に基づく排出削減量がクレジットとして認証されました!(閲覧:2026年8月2日)
(11) J-クレジット制度事務局. 方法論一覧. (閲覧:2026年8月4日).