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Sustaining Biomass Silviculture in the Era of Short-Rotation Harvesting: The Potential for Returning Biomass-Derived Materials to the Forest Floor
Updated by 仲川泰則 on July 21, 2026, 7:55 PM JST
Yasunori NAKAGAWA
株式会社リーフレイン
大学院時代より森林生態系の物質循環に関する研究に取り組み、博士(農学)を取得。大学院修了後は、日本学術振興会特別研究員として湿地林の物質循環をテーマに研究を行った。その後、自然再生事業やバイオマスエネルギー事業にも携わった。
バイオマス造林は、カーボンニュートラルの実現やバイオマス由来素材の原料確保に向けて、ますます促進されることが予想される。バイオマス造林では一般に、早生樹による短伐期収穫が求められている。しかし、短伐期収穫を繰り返せば土壌中の有機物が失われ、養分が枯渇することが指摘されてきた。そこで、森林土壌が持つ機能の損失を回避する、あるいは損失した機能を回復させるために、他のバイオマス資源に由来する資材を林地に還元することが有効な手段ではないかと考え、提案したい。
まず、バイオマス資源にはどのようなものがあるか、一覧の表にまとめた。

この表では、バイオマス資源は大きく、未利用系資源、廃棄物系資源、生産系資源の3区分に整理される。木質バイオマスは、3つすべての区分に位置づけられる点が特徴的である。この表では、バイオマス造林由来の木質バイオマスは、生産系資源に該当する。
バイオマス発電事業において、木質バイオマスは別の区分で整理されている。2012年のFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)開始時(※参照2)は、「間伐材などの未利用木材」「工場残材などの一般木材」「建設廃材などリサイクル木材」の3区分で整理されていた。その後、木質バイオマス発電所の増加に伴い、燃料材需要は拡大した(※参照3)。現行(2026年)のFIT/FIP制度(再生可能エネルギーの市場価格にプレミアムを上乗せする制度)(※参照4)では、ライフサイクルGHG既定値区分の定義において、木質バイオマスは「製材等残材」「林地残材等」「その他伐採木」に整理されている。このうち「その他伐採木」は、「エネルギー利用を目的とする伐採により発生する木質バイオマス」と定義され、当面は伐採齢20年以下で主伐する場合をエネルギー利用目的の伐採とみなすとされている。また林野庁は、燃料材の安定供給に向けて、全木集材による枝条等の活用を支援している(※参照3)。
以上の内容を踏まえると、木質バイオマスは単なる残材利用ではなく、生産・利用・還元を含む循環の中で捉える必要がある。
日本の林業では、枝条部や根系部が林地に残置され、それらの分解を通じた物質循環により、森林土壌が維持されてきた。しかし、短伐期収穫を繰り返すことにより、森林土壌中の有機物や養分が十分に維持されない可能性がある。日本では、森林の多くが傾斜地に成立するため、土壌流亡や土砂流出のリスクも高まる可能性がある。
その他に、短伐期収穫の繰り返しにより、林業機械の使用頻度が増えることで土壌のかく乱頻度も増大し、土壌中からの有機物の消失が早まることも挙げられる(※参照5,6)。上述の全木集材(※参照3)は、この傾向を強める可能性がある。
そこでバイオマス造林を行う場合、短伐期収穫の繰り返しによる影響を最小限にとどめるために、平地あるいは緩傾斜地であることが望ましい。同じ平地でも、河川近傍は水質保全、土砂流出防止、防災の観点から河畔緩衝帯として残す必要があり、バイオマス造林地に転換しないことが望ましい。このように考えると、バイオマス造林適地のゾーニングも慎重にならざるを得ない。
短伐期収穫の繰り返しによる森林土壌の機能損失を回避する、あるいは機能回復のためには、林地に有機物と養分を供給する必要があると考えられる。そこで有効な手段として、他のバイオマス資源に由来する資材の利活用を挙げたい。
実際に農地では、バイオマス資源を処理・変換した後に得られる資材が、肥料や土壌改良剤として広く利用されている(※参照7)。これらの資材は、原料、変換工程、得られた資材の形状・性状により、燃焼灰、バイオ炭、堆肥、消化液などと呼ばれている。林地に還元された事例は、海外では多数存在するが、日本国内では少ない。日本の森林は農地とは異なり傾斜地が多いために、手間やコスト面などの制約が多くなることが、林地への還元が定着しなかった一因と考えられる。
次回以降は、土壌に還元できるバイオマス由来資材の種類と実際に還元された事例を紹介し、日本の森林への適用可能性を検討したい。
※参照
(1)独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (2014) NEDO再生可能エネルギー技術白書第2版
(2)経済産業省調達価格等算定委員会 (2012) 平成24年度調達価格及び調達期間に関する意見.
(3)農林水産省林野庁 (2026) 令和7年度森林・林業白書 第1部第3章第2節 (3)木質バイオマスの利用.
(4)経済産業省資源エネルギー庁バイオマス持続可能性ワーキンググループ (2026) FIT/FIP 制度におけるバイオマス燃料のライフサイクルGHG排出量の既定値.
(5)Griffiths, N. A., Rau, B. M., Vaché, K. B., Starr, G., Bitew, M. M., Aubrey, D. P., Martin, J. A., Benton, E., Jackson, C. R. (2019) Environmental effects of short‐rotation woody crops for bioenergy: What is and isn’t known. GCB Bioenergy, 11, 554–572.
(6)McKay, H. (ed.). (2011) Short Rotation Forestry: review of growth and environmental impacts. Forest Research Monograph, 2, https://cdn.forestresearch.gov.uk/2022/02/frmg002_short_rotation_forestry-1.pdf.
(7)農林水産省農産局技術普及課生産資材対策室. 国内資源由来肥料の活用事例集.